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吉田かばん 桑畑晃氏×博多祇園山笠 西流 橋本哲夫氏対談

山笠をまとった男前バッグ、ここに完成

770年の伝統を誇る山笠、創業以来"一針入魂"の信念を貫く吉田カバン。2人のキーマンに聞いた伝統文化を受け継ぐこと、新しい世代に伝えていくこと。


博多山笠PORTERにかかわるヒト。コト。モノ。

博多山笠PORTERにかかわるヒト。コト。モノ。

桑畑:山笠に関する博多ならではの習慣ってありますか?
橋本:山笠期間中、博多の小学校では給食の時間になったら、山笠に参加する男の子は帰っていいんですよ。15日は、僕らの時代は山笠の感想文を書いて下校だったんです。会社も期間中は、早退や休みも大目に見てくれる所もあったりします。
桑畑:福岡が地域文化を大切にしてるっていうことですよね。地域全体で温かい目で山笠を受け入れているところがいい。
橋本:そうですね。希薄になっている地域の一体感が、博多のまちにはありますね。(山笠のために)帰省しても、近所のおじちゃんおばちゃんたちが「おかえり」と出迎えてくれる。昔の日本の風景が、博多には今も残っています。

桑畑:今回の博多山笠PORTERは、山笠の男衆が持っている信玄袋を原案に作ったものなんですが、お祭りで信玄袋ってどのように使ってるんですか?
橋本:山笠を舁く時は信玄袋は持ちません。交渉事や山笠の集まりの時に、長法被と一緒に信玄袋を使います。山笠期間中は結婚式も長法被で出席できるし、ホテルでも長法被ならOKです。信玄袋は、普通手に持つこともあるんですけど、今の若い衆は帯に信玄袋のヒモを通したりして携帯しています。

博多山笠PORTERにかかわるヒト。コト。モノ。

桑畑:そこが男らしい。信玄袋の作りも理にかなってて、何か重いものを入れると自然に巾着の口がしまるじゃないですか。そういうものって道具として男っぽいなと思うんです。それと同じで、今回の博多山笠PORTERも腰につけた時、全部片手で扱えるようなスマートで男っぽいイメージで使えたらいいなと思って作りました。

博多山笠PORTER

アジアンビート(以下ab):今回、アジアンビートでも吉田カバンでも初めての無形文化財とのコラボレーションになりました。
桑畑:吉田カバンってコラボ商品は多いんですが、自分たちが興味あるものじゃないとコラボレートしないんです。創業者が物づくりをする方で、自分たちで作りたいものをプライドもって作りなさいというのが会社の方針ですから。


ab: 今や、吉田カバンというと世界で知られるカバンメーカーへと成長しましたが、そのきっかけになったのはどういったことなんでしょうか?

博多山笠PORTERにかかわるヒト。コト。モノ。

桑畑:ここ15年で会社の規模が5倍以上大きくなりました。入社した頃は社員40人くらいしかいなくて、いつか潰れるぞって言われていて・・・。僕自身、学生の時にデザイン学校は出たけど、勉強しなくてひたすら遊んでたんです。そんな中、入社して4~5年した頃に遊び仲間たちが色んな分野で面白い動きをしていて。それで、会社とは全く別の人たちと「こうゆうもん作ったら面白くない?」とか言いながら、カバンを作ってた。それを会社が受け入れたんですよ。ただ、やるなら責任もってやりなさいって言われるだけで。そうやってる中で人気が出て、雑誌の方やスタイリスト、芸能人のファンが増えていって、吉田カバンの名前が広がったんです。


ab:それは、若い人が自由に物づくりできる環境にあったからこそ、なんでしょうね。山笠では、若い人が歴史を動かしたターニングポイントというのはあるんでしょうか?

博多山笠PORTERにかかわるヒト。コト。モノ。

橋本:770年続いているっていうことは、何かしら少しずつ変わっていると思うんです。その時代ごとに、やっている人間の情熱がないとここまで続いてこない。例えば、昔は山笠を舁く時は上半身は裸でやってたんですが、明治時代には、その姿が野蛮に見えたのか、山笠が禁止になりそうになったんです。じゃあ、どうしようかってなった時に、今の水法被(短い法被)になった。町に電線が張り巡らされるようになってからは、電線を切らないように追い山の高さも低くして、今の高さになった。山笠の大事な部分は残しつつ、自分たちがやりたいという情熱は持った上でやってきたから、今僕たちが山笠に参加できているという事だと思うんです。

博多山笠PORTERにかかわるヒト。コト。モノ。

桑畑:追い山の映像を見たら、男たちがすごい形相で山をかついでいて・・・。あれをいきなり「やれ」って言われてもすぐにはできないですよね。あれは、絶対山笠が好きだからっていう情熱がないとできない。
桑畑:今回のコラボレーションが、若い人たちに向けて伝統文化の広報活動的な部分になってくれればと思っています。それで、この博多山笠PORTERを持って「伝統の山笠」というイメージだけじゃなく、カッコいい祭りとして若い人にも興味を持ってもらい、山笠に参加したり見に来てくれたりしたら嬉しいなと思います。

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