「鼓動」2010年7月19日

2010.07.19

鼓動

キングの継承

　ワールドカップが閉幕した。にわかサッカーファンであっても、祭りの後のような寂しさを感じる。

　サムライ・ジャパンは、開幕前の悲観的な予想を覆して、決勝トーナメント進出、という快挙を成し遂げた。

　１９９３年、試合終了間際のロスタイムで点を入れられ、アメリカワールドカップの出場を逃した「ドーハ―の悲劇」、その４年後、マレーシアのジョホールバルでワールドカップ初出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」――。

　劇的なPK戦での幕切れとともに、南アフリカ大会でのサムライたちもまた、新しい呼称によって語り継がれるだろう。

　メディアに批判されようとも、サポーターたちからブーイングを受けようとも、戦い続け、世界の舞台に参加し続けなければ、新たな歴史を切り開いていけない。各国代表の明暗を目の当たりにして、そのことを実感する。

　ワールドカップの舞台をついに踏むことがなかった、「カズ」こと三浦和良（横浜FC）。日本の決勝トーナメント進出が決まった日もグランドにいた。齢（よわい）四十三。大勢の観衆もなく、華やかなライトもないグランドで、球を追い続けていた。

　今回のワールドカップで活躍した本田圭啓佑が日本サッカーのキングを中田英寿から継承した、とマスコミは盛んに騒いでいるが、私にとっての「キング」は、今も若者のように戦い続ける三浦和良、「キング・カズ」だ。（M）