大友克洋監督が9年ぶりに挑戦する劇場版作品『SHORT PEACE』。4つの短編にオープニングアニメーションが加わってできた本作は、それぞれ“日本”がテーマとなっている。この記事では、『SHORT PEACE』とは何なのかという疑問から、各作品のストーリーや魅力など、様々な角度から作品の魅力に迫ってみた。

大友克洋を筆頭に、作品をこだわって作る新進気鋭のクリエイターが集結してできたのがこの作品である。プロジェクトのタイトルとしての『SHORT PEACE』は「短い平和」という意味もあり、日本の現在のあり方との「リンク」を感じていただければとプロデューサーの土屋康昌氏はいう。以下では、それぞれの作品紹介をしていく。オープニングアニメーションの監督は森本晃司、音楽はMinilogue、声の出演は春名風花による。

STORY
18世紀。嵐の夜、深い山中で男が道に迷っていた。そこで見つけた小さな祠。中に入るとその空間は突然別世界の部屋に変化する。そこに次々と現れたのは捨てられた傘や、着てもらえなくなった着物などのモノノケ達。男はその怨念を秘めた古い道具たちを丁寧に修理し、慰めてやる。
キャスト
男：山寺宏一 / 反物小町:悠木碧 / 蛇の目蛙:草尾毅

スタッフ
脚本 監督:森田修平 / ストーリー原案 コンセプトデザイン:岸啓介 / キャラクターデザイン:桟敷大祐 / CGI監督:坂本隆輔 / 美術:中村豪希 / 作画:堀内博之 / 音楽：北里玲二

STORY
18世紀江戸の町。商家の娘お若と幼馴染の松吉。惹かれあう二人であったが、松吉は家を勘当され町火消しとして生きる。そんな最中、緒若の縁談の話が進み始めた。松吉への思いを忘れられない彼女の狂った情念からの行動は、大火事を引き起こし江戸の町を焼き尽くす。その大火の中で再びめぐり合う二人。巨大都市江戸の大火を舞台としたスペクタクル。

キャスト
お若:早見沙織 / 松吉:森田成一

スタッフ
脚本 監督:大友克洋 / キャラクターデザイン ビジュアルコンセプト:小原秀一 / 音楽:久保田麻琴 / 作画監督:外丸達也 / エフェクト作画監督:橋本敬史 / 演出:安藤裕章 / 美術:谷口淳一 本間禎章 / CGI監督:篠田周二 / 画面設計:山浦晶代

STORY
16世紀末。戦国時代末期。東北地方（最上領）の山中に天空より何かが落下した。直後、寒村に一匹の巨大な鬼のような化け物が現れ略奪の限りを尽くす。時を同じくして寒村に暮らす少女カオは白い熊と出会う。人の言葉を理解するその神秘的な熊にカオは救いを求めた。かくして鬼と白熊との激闘がはじまる。新機軸のバイオレンス作品たるべく、荒く力強い画面を3DCGの技術を活用し描き出す。

キャスト
カオ:田村睦心 / 二元次:浪川大輔

スタッフ
監督：安藤裕章 / 原案 脚本 クリエイティブディレクター:石井克人 / キャラクターデザイン原案:貞本義行 / 脚本:山本健介 / キャラクターデザイン 作画監督:芳垣祐介 / 美術監督:本間禎章 / CGI監督:小久保将志 / CGアニメーションチーフ:坂本隆輔 / 色彩設計 色指定:久保木裕一 / コンポジットチーフ:佐藤広大 / 音楽:七瀬光

STORY
近未来。東京。砂漠の中の廃墟と化した都市を訪れたプロテクションスーツで武装した5人の小隊は一台の戦車型無人兵器と遭遇戦となる。しかし、次第に歯車が狂い始め小隊は窮地に陥っていく。大友克洋の原作による伝説的な戦闘アクション漫画を再構築し、リアリティと革新性のある描写をめざした。エキサイティングなアクション作品でありながらも、無常観の漂うテイストに仕上げた作品。

キャスト
マール:二又一成 / ラム:檀臣幸 / ギムレット:牛山茂 / ジン:大塚明夫 / ジャンキー:置鮎龍太郎

スタッフ
原作:大友克洋 / 脚本 監督:カトキハジメ / キャラクターデザイン:田中達之 / メカニカルデザイン:カトキハジメ 山根公利 / CGI監督:若間真 / 作画監督:堀内博之 / 美術監督:小倉宏昌 / 演出:森田修平 / 色彩設計:山浦晶代 / 撮影監督:田沢二郎 / 編集:瀬山武司 / 音楽:石川智久