「鼓動」2010年3月4日
胡蝶の夢
荘子「斉物編」には、胡蝶の夢といわれる逸話が収められている。あるとき荘子は、蝶となり百年を花上に舞い遊んだ夢を見る。ふと目が覚めて愕然として思うには、自分が夢で蝶となっていたのか、それとも蝶が夢見て今自分(荘子)になっているのを疑う。 夢と現の混じり合う世界。
どこからか蝶が一匹現れ、あなたの肩の上に止まった。蝶は肢のよじれを戻そうとするかのようにしきりにもがいていたが、やがてじっとしたままになった。蝶の目には、あなたの顔がそばに見えていた。でもあなたは蝶に気づかなかった。蝶はしばらくあなたの横顔を見ていた。そのとき急に風が流れて、蝶の羽根がくらりと揺れた。
あなたが肩に気を止めたその瞬間、蝶は視線から身をかわすように飛び立った。
昼下がり、夢から覚めて思った。
蝶は私だったのかもしれない。(IK)
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