「鼓動」2010年11月25日
紅葉
11月第3日曜日、糸島市の雷山の山裾にある千如寺を訪れた。ここには樹齢400年の大きな楓をはじめ200本もの楓があって、紅葉の時期にはたくさんの見物客でにぎわう。ある程度の渋滞は覚悟していたが、2キロの渋滞に巻き込まれ、ノロノロ運転で渋滞を抜け、駐車場にたどり着くまで80分ほどかかってしまった。寺の説明によれば、紅葉の見ごろは、年によって異なるものの、毎年この日が一番の人出になるらしい。境内の前庭の楓の大木は、紅葉のピークをやや過ぎて、すでに散りはじめていた。万朶の紅葉は鮮やかな真紅というわけではない。むしろ赤褐色のグラデーションに染め上げられている。樹の下には、それこそ絨毯を敷き詰めたように、おびただしい数の褐色の落ち葉が堆積していた。豪華な楓の装いもほんのつかの間である。
堂に上がり、拝観の順路に従って進むと、斜面に配置された個々の堂は階段状の回廊がつないでいる。それぞれの堂では高さを異なえて庭園の空間を眺めることができる。庭園は心という字を描くように配された心字庭園だという。ところどころに施された石組みを
覆うように赤や黄色が彩る。折々の眺めの中でも、この庭の秋をこそ味わうために造られたとも思えた。
境内に積もる毎年の落葉を集めて山に処分する作業は大変のようだ。落葉の遅かった昨年12月には、集めた落葉は軽トラック24台分だったらしい。
そんな話を聞きながら、落葉し始めた庭の紅葉を眺めていると、白居易の「林間に酒を煖めて紅葉を焼く」という詩句が浮かんだ。白居易は、若いころ、長安の西郊仙遊寺にて紅葉を炊いて酒を温め、苔を払って石に詩を書いたこともあったとか。昔の中国の詩人のなんと風流なことか。(HR)
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