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「鼓動」2010年12月9日

卒塔婆小町

鼓動 能楽の世界は、よほど親しんだ人でないと難しいということをつくづく思い知らされたのは、昨年暮れ、観世宗家の「卒塔婆小町」を観に大濠能楽堂へ出かけた折のことだ。

 世に美貌の主人公は多いが、老残の身となり、昔の面影すらない美女を取り上げるのも、昔からの趣向としてあったようだ。一種の絶世の美女への報復劇とさえいえる。

 百歳になった小町が登場して卒塔婆に腰を下ろす。それを見かけた高野山の僧が咎めて、小町と僧の問答になる。この問答はかなり理屈っぽい。その上、この曲は単調できわめて動きが少ないので、多少能を見てきた人でも少々退屈してしまいかねない。言ってみれば、「卒塔婆小町」は、能楽ビギナー向きの能舞台ではない。舞台には、かつて小町に思いを寄せた深草少将の死霊が登場する。死霊が小町を責めると、小町は苦しみ、男の心をようやく理解する。

 花の色は うつりにけりないたずらに わが身世にふる ながめせしまに 

 小町の歌は、曲の隠されたモチーフともなっている。

 能楽における徹底した様式美の追及は、簡潔で抑制され極度に切り詰められた無駄のない動きを身上とするが、これを許容する現代人の感性も、また舞台を成立させる古典的な教養も、創作された当時と大きな隔たりがあるのは言うまでもない。孤高ともいえる能舞台の劇的な空間も、いまや一部の出し物を除いて、わかりにくさが先に立って、観客をひきつけるものとはなっていないのが実情だ。もう少し、踏み込んだ解説などよほど工夫しないと、演じる側と見る側のこの舞台空間は、家元と弟子たちの小さな世界にとどまるだけの芸能になってしまう気がする。(IK)
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