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「鼓動」2010年12月21日

PLUTO その1

鼓動 冥王星は、太陽から約40AU離れた距離で楕円軌道を250年かけて1周している。AUとは、天文単位で、太陽と地球との距離が1AU(約1億5千万キロ)である。かつては太陽系の第9番目の惑星として位置づけられていたが、2006年、チェコのプラハで開催された国際天文学学会において、惑星の定義が見直され、冥王星は、惑星の地位から「準惑星」へと格下げになってしまっている。その理由は、太陽系外縁部に冥王星とほぼ同じ大きさやさらにより大きな小惑星が次々に発見されたためで、1930年の発見以降なじみのある惑星ではあったものの、新たな基準に照らすと、降格はやむを得ないものだった。とはいえ、この降格に一抹の寂しさを覚えた方も多いだろう。

 冥王星の発見は、アメリカの天文家パーシバル・ローウェルとその弟子クライド・トンボーによるものだ。ローウェルは、もとは実業家であったが、天体への興味が高じて、アリゾナの砂漠に自費で天文台を作り、そこで火星の観測から始めている。当時火星には、水があり、また生物もいると信じられていた。ローウェルは火星に発見されたという「水路」を確認する夢を果たそうとしていた。詳細を極めた運河のスケッチは、イギリスの小説家H.G.ウェルズの空想力を刺激し、『宇宙戦争』を誕生させている。

 冥王星の発見も、こうした火星への関心の副産物だったともいえる。ローウェルは、海王星の軌道などから未知なる惑星の存在には確信があったのだが、生前ついに発見せずに生涯を閉じている。彼が残した一千枚近い写真には、515個の小惑星、700個の変光星、そしてなんと新惑星が2度も写っていた。写真乾板に写っていた新惑星は、予想よりはるかに暗く、かすかなものだったため、見逃されていたのだ。意気消沈したローウェルは天文台の仕事に疲れ果て、1916年に亡くなっている。ちなみに、ローウェルは、親日家で、明治期の日本を5回訪れ、通算3か年滞在している。(IK)

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