今や「アイドル」は出会うことのできない架空の存在ではなく、すぐ側にいる現実のものとなっている。その現象を世に知らしめたのが、2005年に秋葉原で結成されたアイドルプロジェクト「AKB48」。
彼女たちは「会いに行けるアイドル」として専用劇場で毎日ステージを盛り上げている。さらに、ステージ終了後に行われる握手会をはじめとした交流イベントを通じ、ファンとの距離を縮めた。
そして去る2008年、さらにファンとの距離を縮めたアイドル「SKE48」が誕生。彼女たちはAKB48の地方展開の第一弾として、名古屋市・栄を拠点に活動を開始した。今まで都心部にわざわざ会いにいっていたアイドルが、「我が街」で会える現状。これは現代のファンの心理が少なからず反映されている。

80年代に活躍した「おニャン子クラブ」や97年にASAYANからデビューした「モーニング娘。」など、今までも身近な雰囲気のアイドルは存在していた。しかし、どれも「すぐ側にいる存在」ではない。それは、活動拠点が都心と限られていることやファンとの接点が大規模なライブ会場やTVの収録現場しかなく、いつでも会える状況ではなかったことが要因だ。
しかしSKE48は、AKB48同様毎日専用劇場で会うことができる。さらに活動拠点の愛知県の出身者が約６割もいるのだ。そんな状況の中、ファンのアイドルに対する心理も「見守る」から「育てる」へと変化。それは情報過多の現代に、少しでもリアルを求めるファンが求めた21世紀の新たなアイドル像かもしれない。