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FUKUOKA CREATORS / vol.007 福山剛

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福山剛

 第7回のゲストは、福岡・西中洲のフレンチレストラン「Goh」のオーナーシェフ 福山剛氏。福岡のフレンチレストランと言えば「Goh」の名を避けては通れない、そんなブランドを築いた福山氏の、料理やその先にある想い、そして福岡に対する情熱に迫った。

個性を押し付けるのではなく、“福岡の人”に対するスペシャリストになろうと思いました。

福山剛
―― フランス料理のシェフを志したキッカケは?

福山剛(以下 福山):子供の頃から料理が好きで、食材を買ったり、道具を買ったり、食に対しては昔から興味があったんですよ。何がキッカケかは分からないですけどね。僕が田舎で育ったこともあって、イタリアンとかフレンチの違いって、当時はイマイチ分からなかったんです。高校生の頃に、フランス料理の内容云々ではなく、単純にコック帽とか白衣とか外国に憧れがあって、格好良さそうだなっていうキッカケで志しました。申し訳ないですが、実はあまり深い意味はないですね(笑)。だから、昔から料理自体はは好きだったし、中華とか和食も好きでしたが、僕の中では“料理=フランス料理”でした。

――飲食の業界って厳しそうなイメージが強いのですが、その為に努力したことってどんなことですか?
福山:将来を決めていたということもあって、高校3年生になる前の春休みから、フランス料理のお店で研修をさせてもらっていて、1年後の高校卒業する前には、現場に入っていました。だから、高校3年生の時は、フランス語の勉強をしたり、フランス料理の雑誌を読んだりメディアから情報を得て、専門的なことを勉強していました。元々、飲食業界は厳しいとは知っていましたけど、想像していたよりもはるかにきつかったですね(笑)。そういう心構えはしっかりしていたものの、最初の2年間は本当にきつくて、毎日辞めようと思っていました。それまでは、家で料理を作るのも好きだったし、料理番組を見るのも好きだったんですけど、そう感じる余裕がなくなっていました。やっぱり、素人とプロの違いは明確で……。例えば、素人には時間に余裕があって、大量の料理を作ることなんてないですが、プロはお客さんのペースに合わせて、ある一定の量をクオリティを保って出さないといけない。それに全く慣れなくて。しかも、同級生の友達たちは大学や専門学校生で、その頃って皆遊ぶじゃないですか。当時は、バブルが終わったくらいだったんですけど、まだバイト代も高かった。僕らは、給料7万円の上、休みがない。そういう周りのギャップに、自分の仕事のできなさ具合が拍車をかけて、本当につらかった。ただ、子供の頃から料理しか頭になかったから、辞めて何をして良いかも分からなかったんですよね。

―― なるほど……。でも、やっぱりそれだけ料理が好きだったということですよね。独立するまで、ずっとそのお店で修行をされていたんですか?

福山:いえ、このお店を出したのが31歳の時なんですけど、それまでに2つのお店で働かせてもらいました。18歳でこの業界に飛び込んでからは、高級なフランス料理店でとにかく料理を作ることだけをやっていました。25歳からは中洲の小さなワインバーで働いたんですが、この時の経験は大きかった。クローズキッチンだったこともあって、とにかく料理だけに集中していた最初のお店と対照的に、ワインバーはお客さんと目の前でコミュニケーションをとれることで、自分が自信をもって料理を提供しても、反応が悪いことも多くて。普段使われないような特殊な食材を使って、自分の個性を出した料理を提供していたつもりでも、お客さんに受け入れてもらえなかったり、ダイレクトに反応が分かったんです。だから、考え方を変えて自分の個性を押し付けるのではなく、それぞれの人に合うように料理を作ったり、ワインの勉強をしたり、お客さんへのサービスのことを勉強したりとか、“福岡の人”に対するスペシャリストになろうと思うようになりました。ただ、自分のお店を持ったのは本当に偶然というか……もともとそんなつもりがなかったので。でも、お店を持つと決めた時から、福岡に出すということは決めてましたね。

料理を通じて、色んな人と交流できることが魅力であり楽しさです。

福山剛

―― 人一倍、福岡にこだわりを持っているように感じますが、福岡という場所が料理に影響することってありますか?

福山:福岡というか、やっぱり九州は食材が豊かです。先日、大阪のあるシェフと話をしたんですけど、こぞって九州の食材を使いたがるんです。僕らは、それを当たり前だと思っているんですけど、その環境があるのは魅力かなと思いますね。あとは、やっぱり人ですね。来てくれるお客さんも本当に良い人が多くて、料理をちゃんと評価してくれる。価格帯にしても、味にしても。東京とかに比べるとシビアなのかなとは思います。福岡は価格もある程度抑えられて、どこのお店もそんなに価格が高くないから、皆が頑張っていますよね。しかも、はずさないお店が多い気がします。だからこそ、こだわりが必要で。フランス料理って年に1度食べるかどうかというもので、実際絶対に食べなくてはいけない料理でないと思うんです。だから、僕はお寿司屋さんや美容室のように、皆が同じサービスではなくて、一人ひとりお客さんのケアができるように、リストを作っているんですよ。例えば,前回食べたものや、嫌いなもの、お客さんの特徴とか。だから、お席についた時に「嫌いなものは●●でしたよね?」ってお客さんに合ったサービスと提供することができる。料理の味はもちろん大切ですが、安心できる環境も大切にしながら料理を提供しています。ただ、マイナスな面もあって、先程も少し言ったように、皆が競争しすぎて、価格が安くなり過ぎている気がします。あくまでも飲食業界での話ですけど、無理して利益を薄くして、2年、3年……10年と続かないお店が多くなっている。本来なら、利益もしっかり頂いて、お客様に満足してもらうのが一番良いんでしょうけど。現実的に、お金の問題はシビアですね。

――料理を創造する上で大切にしていることは?

福山:フランス料理は、“見た目”“味”“温度”あとはコースの“流れ”を大切にしています。あと、僕がこだわっているのは量ですね。お腹いっぱいになってもらうというより、腹8分目くらいに抑えるようにしています。フランス料理は油が多いので、あとからお腹いっぱいになってしまうことが多くて。あとは何度も言うように、サービスですね。ちょっとした一言が言えるかどうかで、料理に付加価値が付くと思っているんで、そこは心がけています。

――幼い頃から料理が好きだったとおっしゃっていましたが、料理の魅力や楽しさってどうところに感じますか?

福山:うーん、やっぱり料理を通じて、色んな人と交流ができることですね。このお店がなかったら、接することができなかったような人にも知り合うことができて、それができるのも料理の良さなのかなって思いますね。実際、お腹を満たすだけなら、高いお金を払って食べる必要はないと思うんですよ。それでも来てくれるお客さんには、満足して帰ってもらえるように、努力しています。結局のところ、人と人との関係だと思っていますので。

――今の福山さんを築いてきたものって何だと思います?

福山:これだと思えるものはなくて、今まで積み重ねてきた経験や失敗の日々が、自分の蓄積になっていると思います。料理だけじゃなくて、色んな人と出会って、色んな人の話を聞くことが自分の経験になっていますね。成功した話とか失敗した話もたくさん教えてもらって。やっぱり、今は料理が美味しければお店が流行るっていう時代でもないので、とにかく色んなお店を見て回っています。

好きなことを、とにかく頑張り続けること。これが大事だと思います。

――最後に、同じように食の道を志している人、また食を通して何かを伝えたいと考えている人に向けてメッセージをお願いします。

福山:自分も経験したから分かるんですけど、最初は給料も安くて、労働時間も長いし、理不尽なことも言われることもあります。でも、自分たちが作った料理を美味しいと言ってくれて、お金まで払ってもらえる。そんな贅沢な職業はないと思うので、とにかく料理が好きなら頑張り続けてください。これは、どんな職業でもそうですけど、気持ちが折れると悪い方向に考えがちなんで、そんな時こそ、努力をして前向きに頑張ること。これが大事だと思います。
福山剛

プロフィール:福山剛

1971年2月26日生まれ 福岡県出身 高校生在学中、フレンチレストランの研修を受けた。
1989年 フランス料理店「イルドフランス」に就職。その後、95年からワインレストラン「マーキュリーカフェ」でシェフを務めた。2002年10月 、西中洲に「La Maison de la Nature Goh」を開店。現在に至る。
岩田屋コミュニティカレッジ講師、西部ガスクッキングクラブ講師、八女市ジビエ料理の開発、普及委員を務める。

■ホームページ
http://goh.in

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