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櫻井孝昌(Takamasa Sakurai) のJAPAN! JAPAN! JAPAN!

第68回 アーティスト自身が感じる「クールジャパン」の問題点と課題とは?

2013年7月11日~14日、まちがいなく日本でもっとも有名な海外の日本ポップカルチャー紹介イベントJAPAN EXPOが今年も開催された。今年で第13回目の開催となる。ジャパンエキスポは、現在、マルセイユやベルギーなどでも同じ主催者によって開催されており、この8月には大西洋を越えてアメリカのサンフランシスコでも初めて行なわれた。
私がパリのジャパンエキスポを初めて訪ねたのは2008年。それから2011年を除き、毎年参加しているのだが、行くたびに規模が大きくなっており、動員数は20万人を越えている。2008年当時と大きく変わったのは、なんと言ってもそこにいる日本人の数だ。世界の日本ポップカルチャー紹介イベントにいかに日本人がいないかという問題は、あのころと基本的にまったく変わっていないのだが、ことジャパンエキスポに関しては出展者・来場者含め、日本人がいっぱいである。ふだんなかなか会えない知人と会場でバッタリなどというのもここでは珍しくない。

今年、ジャパンエキスポでライブを行なった友人たちがいる。フランスでも人気と評価を急速に高めているアーバンギャルドだ。アーバンギャルドのボーカルの二人、浜崎容子と松永天馬と、ジャパンエキスポ翌日、パリの街を歩きながら、改めて話した。モンマルトルの街を案内するのは、彼らへの私の約束だった。

浜崎「ステージに立って、観客の数の多さにびっくりしました。フランスでライブをするのは2回目なのですが、歓声がとにかく大きくて、パワーをもらいました。
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▲モンマルトルのサクレ・クール寺院前で
私たちをそれまで知らなかったみなさんもたくさんいたと思うのですが、次の曲、次の曲へと盛り上がりが増していくのがわかり、うれしかったです」
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▲浜崎容子
海外の日本ポップカルチャー紹介イベントでライブをする際、極端に言えば自分たちをまったく知らないファンたちを最後いかにファンにするかが大事だと私は思っている。
アーバンギャルドが、約3000人の観客を1曲ずつつかんでいくさまを、フランス人たちといっしょに会場で感じられたことは、日本人として、彼らの音楽のファンとして、友人としてうれしかった。

松永「打てば響く感じが最高で、ライブの気持ちよさを再認識できました」
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▲松永天馬
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▲谷地村啓
まず、パリのジャパンエキスポで大人数相手のライブをしたい。彼らの海外へ向けての第一歩はスタートしたが、今後、さらに本格的に海外でライブ活動を行なっていくための課題は何だろうか?

浜崎「まず言葉の問題です。アーバンギャルドは歌詞をとても重視していますし、歌詞に英語もほとんど出てきません。そこをどうすればよいかは考えどころです。もうひとつはパフォーマンス力の向上。今回はいまできるすべてを出し切りましたが、まだ私たちには海外の大きな会場でやるための日本での経験も少ないと思います。大きな会場でも響く力をもっとつけないといけません」

現状、世界は19世紀末のパリを中心に広がった芸術運動ジャポニズムに次ぐ、第二次ジャポニズムとも言える状況にある。
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▲鍵山喬一
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▲瀬々信
かつて、ゴッホたち印象派の画家たちが、輸出された陶器の包み紙で浮世絵に出会ったように、世界の若者たちはネットで日本文化に出会い、人格形成にさえ影響を受けている。だが、とうの日本自体の海外へのプレゼンテーションは、第一次ジャポニズムの時代に比べればはるかに容易であるにもかかわらず何かちぐはぐなものに感じているアーティストは多い。「クールジャパン政策」の推進と声かけは勇ましいが、多くのアーティストはそのことを自分のことのようには実感していない。

松永「海外で、何がどんなふうに日本のものがウケているかの日本としての情報シェアが充分でないし、本質が固すぎます。たとえば著作権に関しても、権利だけを主張しても、結果的にマネタイズできていないとしたら、本質的に何かがずれています。日本が鎖国体質を抜け切れていないのではないでしょうか」

浜崎「私も少し前まで、日本のフェスが世界中にあるなんて知りませんでした。知れば、そこに行けば世界に対する見方もまったく変わってきます。日本を好きでいてくれる人がたくさんいるのに、それを見ようとしなかったり、一部の現象をつかまえてその国すべてが悪いように言ったりする姿勢がもどかしいです」

松永「いまの世界におけるオタク文化の拡散状況は、ロックが生まれ、世界に拡散していった状況に似ていると思うのです。それをどういうふうにブランドとして位置づけられるか、日本人自身が理解できるかが大きな課題だと思います」
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▲ジャパンエキスポでのライブ風景
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私は、現状の日本の「クールジャパン政策」の大きな問題点のひとつは、それを担うべきアーティスト自身が、日本がそれを推進していることを実感していないことにあると思っている。誰のためのクールジャパンか。クールジャパンが日本を明日に進めるための政策であると考えるならば、それをけっして利権という構造のなかに落としてはいけないし、現状はその大きな矛盾のなかにあると私は感じている。私が、自分の文章の中で世界にいかに日本が愛されているかということに対する文脈で前向きに「クールジャパン」を使わない理由はそこにある。
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執筆者:櫻井孝昌氏プロフィール 

櫻井孝昌.jpg作家、ジャーナリスト、事業企画・イベントプロデュース等の仕事とならび、世界24カ国延べ120都市以上で講演やイベント企画、ファッションショーといった「ポップカルチャー文化外交」活動を実施中。外務省委嘱のカワイイ大使プロデューサー、アニメ文化外交に関する有識者会議委員等も歴任。著書(発売順)に『アニメ文化外交』(ちくま新書)『世界カワイイ革命』(PHP新書)『日本はアニメで再興する』(アスキー新書)『ガラパゴス化のススメ』(講談社)『「捨てる」で仕事はうまくいく』(ダイヤモンド社)がある。
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