「鼓動」2010年5月25日
初音ミクがオリコン1位を獲得

この音声合成技術、「VOCALOID」というものである。2000年初頭デモ版を聞いたとき、最初は、どうやってこれを実用化(ビジネス化)するのだろうとおもっていた。
自分の声を録音して、「VOCALOID」技術を使って合成してみると、確かに、機械が処理するので、音程ははずさない、リズムもずれない。なるほどとおもったものだが、同時に、それ以上のひらめきはなかった。
それからわずか10年あまり。インターネットは、多様なコンテンツを生み、融合し、動かしてきた。「VOCALOID」にも転機が訪れる。2007年に登場した「初音ミク」の声は、アニメ文化に乗ったイラスト化されたキャラクターとともに、瞬く間に、初音ミク作品としてユーザー間で共有された。動画配信を使ったコンテンツも登場し、ネットの中を一気に駆け登っていった。「初音ミク」人気とあわせて「VOCALOID」もどんどん売れていく。いつかは、「VOCALOID」で作られた楽曲が、オリコン1位を取るのではないかと、ささやかれるようになっていた。
そして、ついに、オリコン1位である。
音楽界において重要な通過点である。初音ミクの1位、つまり、歌手として生計をなしていなくとも、ミュージシャンとして生計をなしていなくとも、誰でも1位を取れるようになったということである。(K)