「鼓動」2010年2月10日
サラセンの小麦

ヨーロッパでは、蕎麦のことを「サラセンの小麦」という。蕎麦は中世の十字軍の時代にサラセン帝国を経て伝わったのでこう呼ぶらしい。フランスでは「サラゼン」、イタリアでは「グラノ・サラチェノ」と呼ぶとか。
蕎麦の原産地は中央アジアのようだ。その黒い実は、三角卵形をしていて、殻は固くいかにも乾燥に強いという感じがする。
そう言えば、蕎麦茶のペットボトルには、「韃靼そば」の原料名が記載されている。韃靼というのは、古くはモンゴル平原に現れたモンゴル系の部族名だ。明代になると北方に逃れたモンゴル帝国の子孫を呼んだ。
「韃靼」と言う言葉で、有名な安西冬衛の短い詩を思い出す。
「てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った。」
アジア大陸とサハリン島の間のタタール海峡を別名「韃靼海峡」という。鮮烈な印象を与える昭和の名詩だろう。
カモ南蛮蕎麦を食いながらユーラシア大陸を横断する。(IK)
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