「鼓動」2010年2月19日
ロータス・ヘブン

ある時、まだ新参の若い娘が歌う遠い地方の歌が沼面に響く。聴きなれぬ歌に顔を上げるほかの女たち。その歌声は、離宮の主人にも届き、娘はその夜離宮に呼ばれる。
老いた主人は、車椅子の姿で故郷にて歌われていたその歌を、もう一度歌って欲しいと娘に頼む。ベトナムでオールロケを行った映画『季節の中で』(1999年トニー・ブイ監督)にはそんなシーンがあった。
かつて、Lotus Teaは、王様のために、うら若い乙女が、毎朝蓮の葉に溜まった水滴を集め、その水で淹れられた。蓮はこの世で最も清浄の花。その蓮と蓮葉の水滴で淹れられた清雅なお茶が王様に捧げられたという。
2007年訪れたハノイでは、まだ白い蓮の花が露天で売られていた。この町の外れには蓮の咲き誇る沼があるのかと思った。そういえば、ベトナム航空のロゴも蓮の花の文様だ。蓮の花はベトナムの人々の心の花かもしれない。Lotus Teaを味わいながらそんなことを考えた。(IK)
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