「鼓動」2010年4月6日
I tell you, the young!

懐かしいレコードに針を落とし、ヘッドフォンを耳に当て、至福の瞬間を抑制的にじっと待つ。
ギューウゥウゥン、ワウヮゥワゥ。若きジミー・ペイジのギターは、フェラーリ12気筒のエグゾースト・サウンドにも似て、甘くむせび泣く。
違う。始まりが違うよ。CDに慣れた若い人は知らないだろうが、レコードは曲の出だしの直前に、同じ音が流れる。それはヘッドフォンを通した場合に、やっと聞き取れる程度の音。前振りのように流れてくる、そのわずかな音が聞き取れないのだ。
その音がレコードの音調を自然に伝えてきていたはず。若者にしか聞き取れない高周波音域の仕掛けだろうか。CDのミキシングにも活用されているだろう。
つまり、私の耳には、もう、あの甘美なエグゾーストは響かないのか。半永久的に音質は変わりません、というCDも耳の老化には勝てないか。
若者に告ぐ、耳を鍛えよ、そして記憶力を磨け。私は耳鼻科に行く。(O)
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