「鼓動」2010年4月17日
ああ、この人なのだ。飯島奈美さんというのは

いまや、食を映す映画の世界の現場で欠かせない存在として知られる。荻山直子監督の「かもめ食堂」「めがね」など、飯島さんが演出した厨房も食卓もいつも明るく清潔。そしてそのシンプルな料理はことのほか美味しそうだった。日本人のソウルフードをさりげなくそれでいて存在感豊かに表現する力量を感じさせる。力量の源泉はなによりも料理への愛情なのだろう。
「かもめ食堂」の主人公サチエの日本食への繊細なこだわりも、「めがね」の民宿の主人ユージの男の手料理のどこかざっくりとした感覚も良くでていた。映画の登場人物にピタリとあった料理の品々。CMや広告は多いときは年間80本を超える。映画は年2本のペースの仕事をこなす。料理本だって異例のベストセラーとなっている。
映画を見終わって、食のシーンが後々まで印象深いのは良い映画の一つの条件かも知れない。かつてどこの家庭の食卓にも並んだ懐かしい料理を今一度食べたいと思わせる。フードスタイリスト飯島奈美さんの仕事にはそんな魅力がある。(IK)