「鼓動」2010年5月15日
世界桜前線

はやりすたりの世界とはいえ、散るサクラへの心情的な傾斜は最近高まっているのだろう。
桜の自然種は10種類あるというが、園芸品種も多く、日本では固有種・交配種を含めて600種以上が自生しているという。数の上ではソメイヨシノが桜の代名詞のように圧倒的であるが、ヤマザクラやシダレザクラ、さらには八重咲きの桜も人気が高い。
海外にも日本の桜はもたらされている。エッセイストの磯部勝さんによると、アメリカやブラジルなど日系人が多い国では、サクラは日本人によって持ち込まれ、ヨーロッパでは、日本に滞在した外国人が思い出の縁として持ち帰ったものが多いと言う。
いずれにしろ世界中にこれだけ桜の花が広まったならば、春から初夏にかけて世界各地で桜を見ることができ、磯部さんが言うように、将来「世界桜前線」の観測も可能かもしれない。
それが難しいとしても、世界の桜地図ができたとしたら、桜好きの日本人にとっては大変興味深いものとなるだろう。(IK)