「鼓動」2010年6月21日
夏至の日

台湾の中央部にもこの北回帰線が走っており、「北回帰線記念碑」なるものがあるそうだ。
夏至の日の南中の時刻、太陽に向かって直立して、自分の影を一瞬消してみるのも面白いだろう。そのときは時間さえも止まるかもしれない。
ある年の夏、家族で長崎県崎戸島に出かけた。
海岸にはガラス容器の破片シーグラスが打ち寄せられていた。波に洗われ角が丸くなったブルー、グリーン、ブラウンなど濃淡とりどりのガラスの破片を拾い集めた。表面はざらつき、つや消しガラスのようにくすんでいる。それらを家に持ち帰って、モロゾフのプリンの器の周りにセメダインで貼り付けると、チョッとしたキャンドルスタンドができた。
家族で作った作品は、こどもの夏休みの工作の宿題になった。
環境省が2003年から始めた、CO2削減のために夏至の日にライトダウンしようというエコ・キャンペーン。家庭でのキャンドルナイトはマスコミでも取り上げられたような記憶がある。
そのことを思い出してキャンドルスタンドを一昨年久しぶりに取り出した。シーグラスは二つほど外れていたが、暗がりの中で灯りを点すと、キャンドルの灯はシーグラスを通して、美しく柔らかな光を放った。
夏至の夜、家族で明かりを見つめながら、その夏の海を思い出した。(IK)