「鼓動」2010年8月7日
桃

「みさか白鳳」という早生品種で、果汁が多く甘味も十分であった。
桃は中国が原産だ。日本にいつごろ伝わったのは定かでないが、縄文時代末期の遺跡から桃の種が発見されている。
古事記にも桃は登場している。黄泉の世界からイザナギノミコトが逃げ帰るときに、桃を鬼たちに投げて難を逃れる。
日本で本格的な栽培が始まったのは、フランスや中国など海外からの品種が導入された明治時代になってからである。水蜜桃の一品種「白桃」が改良され、「白鳳」や「あかつき」などの多彩な品種が誕生している。
こうして日本の桃の品種改良は進み、ジューシーでとろけるような食感は、いまや世界で高い評価を受け、海外にも輸出されている。
ここ数年の年間輸出量はおよそ500トンあまり。輸出先は台湾や香港が主であり、ほかにもシンガポール、ロシア、アラブ首長国連邦などへ輸出されている。
白桃の皮引く指にややちから 川崎 展宏
熟れた桃の皮を剥くには包丁などいらない。
句のように皮を指で引くと、するすると上手く剥ける。
輝く空が広がる真夏の午後。
冷たく冷やしておいた桃を剥いて、さあ、かぶりつこう。
甘い蜜のような果汁が滴り落ちるはずだ。(HR)