「鼓動」2010年8月9日
60年代の貸本漫画

漫画家水木しげる夫人の武良布枝さんが著した自伝を原案にドラマ化されている。妖怪漫画家の水木さん夫婦の家庭を題材に、昭和の時代背景も取り入れながら、ドラマは展開してゆく。松下菜緒、向井理の人気タレントを揃えて、茶の間で話題となることも多いようだ。
正直言うと、水木しげるさんの貸本向けのマンガについては、ほとんど記憶になく、もっぱらテレビの『ゲゲゲの鬼太郎』しか覚えていない。
同様に、少女時代、恐怖マンガの楳図かずおが大のお気に入りだった家人も、水木しげるの妖怪マンガ画は記憶していないという。
彼女によれば、貸本時代の楳図かずおを経て、少女漫画誌『少女フレンド』の「ねこ目の少女」、「へび少女」へと引き続き愛読するようになったようだ。
恐怖映画が苦手な私に対して、今もおどろおどろしさを愛好するのはこうした少女時代を引きずっているに違いない。
それはともかく、貸本屋には良く立ち寄った。1泊2日10円の低料金。
貪るように読み耽った記憶がある。
貸本の単行本のほかに、『ガロ』や『COM』などの雑誌も60年代半ばの登場だった。若い漫画家のオリジナルあふれる画風も新鮮だった。
少し大人のマンガをわからないまま読んでいた気がする。
60年代を経て70年代になると、いくつもあった街の貸本屋はいつの間にか消えていった。少年少女の漫画雑誌は発行部数を伸ばし、テレビでのアニメマンガがいよいよ増えていった。(HR)