「鼓動」2010年8月16日
天の川ひとりのときは

それまで、人類はこの光る帯についてさまざまな想像をめぐらせてきた。
「天の川」という名前も天上に大河が流れるという古代中国の伝説に基づく。
その天の川を、最もよく見上げる日が、七夕なのかもしれない。
日本では、新暦の7月7日で祝う場合も多いが、中国、台湾、韓国、ベトナムなどアジア諸国では、旧暦の7月7日の夜(あるいは7月の満月の夜)に、七夕を祝う。
各地に残る七夕伝説は、中国に発した伝説から派生したもののようだが、その日は七夕祭りが行われると同時に、「恋人たちの日」とし夏のバレンタインデーさながら、恋人たちは贈り物をし、愛を語る。
天の川ひとりのときはふたりなる 鳴門奈菜
この句にはロマンチックな解釈しか思いつかない。天の川を見ている作者が、ひとり思いに耽っていると、ある人のことがどうしても思われる。気がつけば、一人のときほど、その人のことを思っている。まるで今二人いるように。
天の川に寄せる密かな思い。
さて、今年の旧暦の7月7日は、8月16日に当たる。待ちに待ったその日の夕べ、上海、台北、ソウル、ハノイの若い恋人たちは、心をときめかせ、落ちつかない夜を過ごすことになるのだろう。(HR)