「鼓動」2010年8月24日
流星

今年は8月12日から14日にかけてピークを迎えるということで、この間毎朝未明のうちに起きだして9階のベランダから夜空を仰いだのだが、台風の影響下、連日の曇り空で、流星群をついに見ることはできなかった。
娘がまだ中学生の時、夏に家族で九重高原に遊んだことがある。夕食を終えコテージの外に腰を下ろして、遮るもののない夜空を仰ぎ見た。都会では決して体験できない満天の星。ペルセウス座流星群がきっと見えるに違いなかった。
どれほど待っただろうか、星空の一隅を、流星がサッとよぎった。それから小1時間のうちに幾筋かの流星が流れた。それらは、いずれもあっけないほど短い発光の軌跡だったが、鮮やかな残像としてしばらく忘れなかった。
高度100キロメートルの上空をかすめるようにして発光するのは、せいぜい数センチほどの塵に過ぎない。その塵=流星ダストの帯が地球の軌道に近づくとき、一部が大気圏に突入して、流星となって見える。
「ペルセウス座流星群」は、立秋を過ぎて出現数がピークとなる。その頃になると大気も澄んで星たちの輝きも増す。初秋の夜空にはかなく散りゆく星たちは、古来見るものにとって印象的だったのだろう。ために、流星の季語は「秋」に属している。
ペルセウス座流星群のピークを過ぎた8月16日。
未明の空をしばらく眺めていたら、北東の方向へ星が一つ流れた。流星群の名残なのだろう。
いつものことだが、願い事をする暇などなかった。(IK)