「鼓動」2010年9月28日
モルフォ蝶の青

中南米の森に生息する蝶なのだ。東南アジアの音楽家たちが参加するイベントなのに、中南米の蝶では具合が悪いのでないかと一瞬そう思った。
デザイナーは熱帯のイメージを作るために美しいモルフォ蝶の写真をデザインに取り込んだのかもしれなかったのだが。
現役の蝶マニアでなくても、かつて昆虫少年だったならば、モルフォ蝶は図鑑で見知って記憶しているはずだ。なにしろモルフォ蝶は「生きた宝石」とも呼ばれ、世界でもっとも美しい蝶なのだから。
「モルフォブルー」と呼ばれる金属光沢のある青い色は、たとえば、DVDやコンパクトディスクの読み取り面が薄膜の凹凸の格子状構造によって虹色に見えるように、モルフォ蝶の鱗粉表面の規則的な構造によって青い色だけが強められ反射し発色する。そのため、モルフォブルーは「構造色」といわれ、色素によるものではないので、時が経っても色あせることがない。
ちなみに、2003年、ナノテクを使って、モルフォ蝶の色を人工的に再現したのは日本の研究者である。
中南米の熱帯の森の中で飛翔するモルフォ蝶。彼らは、暗がりと明るいところの境目を好んで飛ぶらしい。その輝く軌跡は、遠く1キロ先からでもわかるという。
明滅するようにきらめくモルフォブルーの残像。(IK)