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「鼓動」2010年10月3日

コレクター

鼓動 今月で、九州国立博物館は5周年を迎える。これまで同博物館には何度も足を運んだ。多くの観客を集めた『国宝阿修羅展』も素晴らしかったが、『若冲と江戸絵画』(ジョー・プライス・コレクション)はより衝撃的だった。伊藤若冲については、ほとんど知らなかったので18世紀の日本にこうした奇想の画家がいること自体新鮮だったし、そのうえ世界的に評価の高い日本美術のコレクションの充実ぶりと収集家としてのプライス氏の鑑識眼には目を見張った。

 それは、たとえば、作者不明の八曲一双の『遊興風俗図屏風』の絵解きについてそうだった。右隻は春の景、左隻は秋の景。そこには野外遊宴、若衆歌舞伎、妓楼内での遊興、街中の輪踊りなどが描かれている。
 この屏風図に、プライス氏は、一人の僧のたどった遊興の世界での変転の生涯を見出したのだ。この絵を貪るように見尽くした後の独自の解釈である。
 右の屏風に描かれている念仏法師(庵にいる念仏僧を二人の遊女が訪れている図)は、遊女の誘いでさまざまな遊びを覚え、最後には、左の屏風に描かれている遊女を背にする職業(元は僧らしき人物が遊女を背中に背負っている図)になる。しかも念仏法師はその仕事に満足していると氏は読み解いた。屏風図の中のストーリーの発見。

 古い日本の絵画作品を大量に収集した単なる収集家ではなかった。しかも特段専門的な教育を受けた学者でもない人物が、これほどまでに、日本の美術作品を読み解く眼力が備わっているということに大いに驚いた記憶がある。そのうえ、その読み解きときたら実に面白い。なるほどと唸ったものだ。美術品にこんなストーリーを見いだせたならば、絵画作品の味わい方はずいぶんと楽しいものになるに違いない。
 プライス・コレクションは、日本人の江戸絵画の味わい方に大きな一石を投じたともいえる。(IK)

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