「鼓動」2010年10月10日
そば街道を行く 「今年こそ新そばを」

一つは20年前に開店した「三瀬そば」で、このそば街道発祥の店と言ってもよい。ご主人は、福岡市天神のそば屋で修業したのち、奥さんの郷で、店を開かれた。いまや、このあたりでは一番の人気そば屋だろう。
もう一つの店は、「木漏れ陽」という小さな店だ。国道263号線から北山ダム方面に少し入った山手にある。「木漏れ陽」が特筆すべきなのはこの店が「北山」という地元の在来ソバ種を使って自家栽培したソバを提供しているからである。いわば地産地消のそばである。秋深まるころ収穫し、天日干しし、製粉所に出したそばが、11月下旬には第1陣が届き、12月1日から新そばとして客に提供される。青みが立ったそばは香りもひときわ高いという。
うまいそばの決め手は「ひきたて、うちたて、ゆでたて」というが、さらに、加えれば「とりたて」こそ、必須の条件だ。だからこそ新そばは好まれる。今は冷凍技術の発達でこの「とりたて」状態をかなり確保できるらしい。夏場に「木漏れ陽」に出かけると「北山ソバ」は残念ながら提供し終わっている。多くない生産量だ。12月から春先までの短い期間でしか味わうことができない。
毎年、今年こそ、薫り高い「北山ソバ」の新そばを食べたいと思いながらすでに数年を経ている。ぜひ今年こそなんとか実現したい。(HR)