「鼓動」2010年12月23日
PLUTO その2

1929年、トンボーは、ローウェル天文台に助手の仕事を見つけると、ローウェルの探していた惑星Xを 海王星の外側に発見することに着手した。彼は、2枚の感光板を照らし合わせて比較し、そこに 動いている星を探すという骨の折れる仕事を続けた。そして、翌1930年に、ふたご座の中に動いている小さな光を発見する。それこそ、新しい惑星だった。 軌道は、通常の惑星軌道から大きく外れ、軌道面の傾きは17.1度、惑星としては異質の存在だった。
1930年3月13日、故ローウェルの75回目の誕生日にあたるその日、新惑星発見の知らせが 世界へ発信された。 冥王星の発見は、たちまち世界を驚かし、なかでもアメリカは、自国での惑星 発見に湧きに沸いた。前年のニューヨーク株式市場の大暴落は、大恐慌を引き起こしていた。景気の悪い時代、世の中は、明るいニュースに飢えていたのかも知れない。 発見された天体の命名に関して、たくさんの声が寄せられた。が、採用されたのはイギリスの少女が つけた「Pluto」という名前だった。
ギリシア神話に登場する冥界の王であるPluto。宇宙の漆黒の闇に浮かぶ小さな目のような星は、 人々のイマジネーションを刺激した。同じ時期、ディズニーの犬のキャラクター・プルートーも誕生して いる。さらに言えば、元素番号94番目のプルトニウムもPlutoに由来する。
こうして、Plutoと名付けられた9番目の惑星は、太陽系惑星の掉尾を飾る座を占め、他の惑星ととも、水金地火木土天海冥といった連鎖のイメージで、世界中に浸透していった。(IK)