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私のおススメ漫画「おやすみプンプン」について

プンプンって名前になめてかかったら後悔するよ

物語はプンプンの小学校時代から始まります。小学校には見た目も普通の子どもたちが通っていて、その中にプンプンも当たり前のように存在しているのですが、誰もプンプンの風貌につっこみません。つっこまない所かクラスの皆はプンプンの見た目はちゃんとした人間に見えているかのように接しているのです。最初はこの描写に「いやいや、さすがにこれは違和感ありすぎだろ(笑)」と思っていましたが、読み進めていくうちにだんだんと慣れてきて3巻あたりになるとむしろプンプンはこれだからいいんだと思うようになってきました。作者の浅野いにおさんによると、主人公により感情移入できるようにこういう描き方を選んだとの事。漫画の常識をぶち破るような画期的な方法がまたこの作品の素晴らしい点ですね。
さて、ストーリーを簡潔に説明しますと、『主人公のプンプンが小学生の時に田中愛子という転入生に初恋をして「僕は愛子ちゃんをずっと守る!」と約束したのに結局離れ離れになり、高校を卒業して20歳のフリーターになった今でも愛子ちゃんの存在を忘れる事ができないけどどうしていいか分からないし将来の希望もないしもう死にたい」みたいな話です。聞いてるだけで鬱になってきますよね。プンプンはまさに“いまどきの若者”で、何事も受け身でウジウジした感じや世間に対してちょっと斜に構えたような言動に大人として「イラッ」とする事も多々ありますが、プンプンの抱いている無力感、無常観というものには少なからず共感できるという事は確かです。そして決してプンプンは悪いヤツじゃない。むしろいいヤツなんだけど世渡りが苦手で自分を表現する事が苦手でとても純粋な子なんです。だから登場人物の皆も放っておかないし、読んでいるこっちも「そんなにウジウジしてないで早く幸せになれよ!お前が幸せになれたらなんだか私も幸せになれそうな気がするんだよ」と応援したくなります。
休載から復活して先月9巻がでたばかりの「おやすみプンプン」。以前紹介したヒミズともまた少し違った世の中の理不尽さや人生の無情、若者の葛藤を描いたこのちょっと憂鬱でちょっとおしゃれな感じがする青春ストーリーを是非ご一読ください。 (編集部 マイキー)
