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FUKUOKA CREATORS / vol.017 白川東一(2/3)
自分の子供に、僕のアニメーションを見てもらうことが一番幸せじゃないかって考えたんです。

――白川さんがこの業界に進もうと思ったキッカケは?
白川:学生の時に、アニメーション作家レイ・ハリーハウゼンの作品を見たことが動機ですね。先日亡くなってしまいましたが、人形のコマ撮りと実写の人間を合成した映像を作る人です。キングコングという映画は観たことがありますか? あれと同じ手法です。昔、コマ撮りをした作品をスクリーンに流して、その前で役者さんが演技をするっていうSFの手法があったんですけど、その手法でハリーハウゼンさんが「シンドバッドシリーズ」の作品をたくさん作られているんです。その中で、手が6本ある人形をコマ撮りして、人間と戦うシーンがめちゃくちゃカッコよくて(笑)。アニメーションって、本当は動かないものを動かすことなので、命を吹き込む作業だと言われているんですけど、この映像はまさに“その通りだな”と思った瞬間で、こんな映像が自分でも作れたら幸せだろうなと思うようになったんです。それが僕が高校生のころですね。
――白川さんの作品についても、いくつか聞かせて下さい。
白川:ずっと続けさせて頂いているのが、コナミの「実況パワフルプロ野球」というゲームのオープニング映像です。6年くらい作らせてもらっています。最近だと、「Mr.shape(ミスター・シェイプ)」というキャラクターを軸にしたオリジナルコンテンツ制作を行っています。最初はアニメーションを作っていたんですけど、作っただけでは皆が見てくれないというジレンマがあって。それを見てもらうためにはどうしたら良いかなって考える中で、テクニカルディレクターの高村と共にアプリを活用しようということになり、アプリの中でアニメが視聴できるようにしました。鼻が“○”で、顔が“□”で、頭が“△”という風に、「○△□」でできたキャラクターで、未就学児とその親に向けたアプリです。また、Mr.shapeはKOO-KIオリジナルのキャラクターとしてビジネス展開をしており、最近だと商業施設 博多大丸さんのキッズファミリーフロア全体をMr.shapeを使ってプロデュースさせて頂きました。単に買い物をする場ではなく、そこに滞在して楽しめる場にしようということで、フロア全体をコーディネートしています。
●白川氏が手掛けるiOSアプリ「Mr.shapeのタッチカード」公式PV
――Mr.shapeが生まれたキッカケって何ですか?
白川:僕に子供が生まれたからですね(笑)。私的な理由なんですけど、結婚して子供が生まれて、もちろん家族のためにも仕事をしていたんですけど、頑張れば頑張るほど家に帰れないという状況で(笑)。家族を養っていかなければという父親としての責任を感じるほど、家族との距離ができてしまっている矛盾を感じていたんです。この状況の中で、自分がやれることって何だろうって考えた時に、自分の子供に僕のアニメーションを見てもらうことが1番幸せじゃないかって考えたんです。そこからは子供向けのアニメーションを意識し始めて、仕事の内容も親子向けや、子供向けにシフトしていくようになりました。そうすることで、僕の中にあった矛盾を解決していくことができるようになりました。その延長線上で、オリジナルのモノを作りたいと思うようになって生まれたのが、このキャラクターですね。
――では、Mr.shapは、白川さんの中で大きなターニングポイントとなった作品ですか?
白川:そうですね。特にアプリを開発したことは、僕にとってはさらに大きなターニングポイントになりました。アプリを作ることによって、これまで以上に遊ぶ人、使う人の気持ちを考えてモノ作りをするようになりました。もちろん、これまでも考えてはいたんですが、意識レベルが変わりましたね。実際に触ることによって、どういう反応が起きて、その時の感情によってどういう行動をするのか。これをしっかり意識しないと、子供たちは正直なので、一瞬で飽きてしまって二度と手に取ってもらえなくなるんですよ。「Mr.shapeのタッチカード」は、そんな想いが沢山詰まった、とても面白いアプリになっています。
――この作品をどのように成長させていきたいと思っていますか?
白川:アニメやアプリはもっと強化させていきたいと思っています。アニメも作りたいですし、アプリもちょうど新作を作っていますし、同時に博多大丸でやったリアルな現場での展開も増やしていきたいです。やっぱり、子供たちが遊んでいる姿を見るのは嬉しいじゃないですか。実は、着ぐるみや体操の歌も作ったんですよ(笑)。実際に、アニメやアプリだけだと、興味の対象としては少ないと思いますし、そこで興味を持ってくれた人がリアルな場でも触れる機会や、家に帰ってアニメを見るという環境を提供したいなと思っています。接点を増やして、この循環をきちんと整理させていくことが大切だと思います。どんどんコンテンツ化して、ビジネスのチャンスも広げたいですね。
→白川東一氏に訊く、福岡で活動するメリットや、ライフスタイルにおけるモットーについて。