「鼓動」2010年1月31日
Run and keep on running

僕はあまり多くの趣味を持たない。せいぜい、一人の作家を読み続けているくらい。好きな歌手の楽曲を聴き続けることで、その歌手と一緒に育ってきたと感じる程度に、僕も、その作家と一緒に時代を生きてきた。
作品を時系列に沿って読んでいく形になるから、その作家が今何を考えているのかが、ある時点から明瞭に分かるようになる。
敬愛する作家の小説が若い登場人物たちへのメッセージ性を強めた時期があった。作家が小説を自分の遺書として書き始めていると感じ、友人に、彼は小説を書かなくなるよ、と告げたことがある。
実際、講演会で作家が最近の作品は遺書のつもりで書いていると語ったことを聞いた。作家の読み手としては嬉しくもあり、また悲しくもあったが、手法を変えつつ走る作家を今も追っかけている。
持続する志として、現在を共有する若い人たちには、今の文化創造者たちを同時代人として追っかけてほしい。(O)
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