「鼓動」2010年6月10日
「の」の秘密

巨人の星、新宿の母、洋服の青山、餃子の王将、徹子の部屋など、グーグルで検索すると、その数、ざっと2億5千6百万件。
この組み合わせ、中華圏を旅行された方は、もう、お気づきのことだろう。お店の名前や商品名など、いたるところで、ひらがなの「の」を目にする。
もともと中国語の「的」「之」に相当するものを「の」にすることで、日本というイメージを連想させるためにつけられたものが、今では、すっかり定着し、日本とイメージさせるというわけでも無く、普通に「の」が使われるようになった。ちなみに、現地での発音は「の」ではなく、「ズィ」。
ひらがなの「の」。もとの漢字は「乃」。意味は、「すなわち」あるいは「汝」。
古来、中国から日本に漢字が伝わり、やがて平安時代に平仮名となって生まれ変わり、千年以上の時を経て、「の」は、日本から中国へと再び戻っていった。
壮大なる時間と旅物語である。(K)
