「鼓動」2010年6月17日
あしたのジョー

1968年から73年にかけて、『少年マガジン』に連載された「あしたのジョー」(高森朝雄原作、ちばてつや画)は、かなり熱心に読んでいた。加えて、テレビで放映された同名のアニメも見ていた。
「たたけ!たたけ!たたけェ~」
尾藤イサオのオープニングの主題歌が始まると、ブラウン管に釘付けになった。
少年鑑別所に入れられた主人公矢吹丈(ジョー)のもとに「あしたのために」の書き出しで始まるはがきが届く。送り主は元ボクサーの丹下段平だ。段平は、ジョーの天性のボクシングセンスを見抜き、ジョーにボクシング技術の講義をしようとしていた。時間と体力を持て余すジョーは、左ジャブの打ち方から始まるそのはがきのアドバイスにしたがって練習を始める。
「あしたのために(その1)=ジャブ=
攻撃の突破口をひらくため、あるいは敵の手足をとめるため左パンチをこきざみに打つこと このさい ひじを左わきの下からはなさぬ心がまえで やや内角をねらい えぐりこむように打つべし せいかくなジャブ三発につづく左パンチは その威力を三倍に増すものなり」
練習を開始したのは、鑑別所の中にいるジョーだけではなかった。全国のいたるところで密かにジャブの練習が始められた。(HR)