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「鼓動」2010年7月5日

こころの湯

 中国映画『こころの湯』(1999年制作)は心に残るいい映画だった。

 北京の下町・胡同(フートン)にある「清水池」は庶民の憩いの場である銭湯だ。この銭湯を、やもめである父(チュウ・チャイ)と知的障害のある次男が守っている。

 ある日、弟が出したはがきがきっかけで、長男が久しぶりに帰ってくる。弟のはがきには父が横たわる絵が描かれていたからだ。

 が、父は元気で、弟と一緒に銭湯を切り盛りしている。短いつもりが、長男の滞在は次第に延び、あれほど自らが遠ざけていた銭湯に対する父と弟の愛情の深さが次第にわかってくる。その思いはかすかな痛みのような感覚を伴っている。全てを放擲して、まかせっきりにしておいた自分。息子として、兄としての痛みが長男の胸を刺す。

 銭湯の場面は日本人にもなぜか懐かしい光景だ。湯上りにラジオから聞こえる京劇の音楽。パチパチと体をたたいて軽くマッサージする音。常連客同士、飼っているコオロギを戦わせて遊ぶシーン。

 銭湯、いや銭湯で代表される胡同。そこには気持ちよくゆったりとした時間が流れていたのだ、という思いが映画には満ちている。

 映画の後半父は亡くなる。そして銭湯も胡同も再開発の中で取り壊されることになる。

 時代の荒波で変貌してゆく北京の街。近代化の一方で、かけがえのないものが失われてゆく。99年制作のこの映画は、そうした喪失と愛惜の念を広く庶民が抱いていたことを教えてくれる。(IK)
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