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「鼓動」2010年7月18日

ジュンパ・ラヒリの「見知らぬ場所」

 第4回フランクオコナー国際短編賞(2008年)を満場一致で受賞したラヒリの『見知らぬ場所』(邦訳2008年・新潮社)。

 第1作の短編集『停電の夜に』の掉尾を飾った「三度目で最後の大陸」が、インド系移民第1世代へのオマージュだとしたら、『見知らぬ場所』の表題作は、第2世代へと重心を移しながらも、第1世代の視点も重ね、新旧の世代の間に行き来する複雑な感情を示す内容になっている。

 インドへの里帰りを止めなかった親世代。アメリカに定着した子の世代。

 親世代のインドに対する負い目と似たような形で、親世代と同居しないことへの子の世代のかすかな負い目が見え隠れする。

 母を亡くした後、長年勤め上げた会社を辞めた父は、たびたび外国へ旅に出るようになる。その父が、シアトルの娘夫婦の新宅を訪れる。

 娘夫婦の生活ぶりを案じ、孫と遊び、花壇作りに精出す父だが、少し明るくなった父の変化を娘は不思議に思う。

 父が旅立ち、投函されずに忘れられたベンガル語の絵葉書には、娘の見知らぬ恋人の影が浮かび上がる。

 インドを出て、アメリカにわたった家族の展開をたどりながら、ひとつ家族だった父娘が、やがてそれぞれの人生を歩みだすことへの切ない思いを描いている。

 ラヒリの豊かな感性と筆力は並外れているが、1967年生まれだからまだ若い。

 二人の子どもを育て現在ニューヨークに住んでいる。今後どのような作家の成熟に立ち会えるのか読者の期待は大きい。(IK)
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