「鼓動」2010年7月24日
長崎から「そうめんとジャガイモ」(上)

ところで、長崎は長崎でも、島原半島の南に位置する南島原市を2年前に訪問したときに、素麺とジャガイモのことで地元の人と談義したことがある。
島原と言えば、播州に次いで、日本第2位の生産量を誇る素麺の大産地。素麺の生産は、島原の乱以降、現地の労働力不足を補うために住み着いた小豆島の人々から広まったという説と、もともと大陸との交易が盛んな長崎に伝来してきたという説の2説があるのだと地元の人から聞いた。雲仙のもとで採れる良質な小麦、山麓から湧き出る豊富な水、それに温暖で乾燥した内海性の気候は素麺作りに最適で、手間隙かけたいくつもの工程を経て、細くてコシのある美味しい素麺へと仕上がっていく。
島原素麺は、長い間、有名ブランド三輪素麺の名前で売られていた。逆に言うと、三輪素麺が買い上げるほど、島原の素麺は、評価されていたということ。島原素麺も三輪ブランドとして、売上を上げていった。ところが、三輪で作られていないものを三輪と言うのはおかしいと取り上げられるようになって、島原素麺は、三輪の名前を使わずに、自分達の名前で売るしかなくなった。量も質も同じなのに、販売価格は下落、安値での取引に苦悩したそうだ。
最近では、地元の方々の努力の甲斐あって、島原素麺といえば、ある程度の認知と評価を得るようになった。ここ福岡でも、ほとんどのスーパーで島原素麺が売られている。
(K)