「鼓動」2010年7月26日
アジアン・ロータス

一方、発見されたハスの花托は、ハスの研究者として知られる植物学者の大賀一郎博士のもとに託された。博士は、古代ハスの復活の夢を実現すべく、1951年、地元市民らの協力を得て、泥炭層の発掘再調査を行い、結果、計3粒のハスの実が発見された。
博士は、このハスの実の発芽育成を試み、そのうち1粒が1952年7月に、ピンク色の大輪を見事に咲かせた。丸木舟の放射性炭素年代測定から、ハスの実は2000年以上前の弥生時代以前のものであると推定された。
2000年もの時空を超えた、古代ハスの開花であった。古代ハスの開花は世間で大きく取り上げられ、アメリカのLIFE誌は「世界最古の花・生命の復活」として掲載している。
こうしたこともあって、ハスは大賀博士の名前にちなんで「大賀ハス」と命名された。その後「大賀ハス」は日本各地のみならず、中国、アメリカ、カナダ、ドイツなど世界各地に根分けされ、友好親善と平和のシンボルとされている。
ハスの花は、とりわけアジアでは広く親しまれている花である。インド、スリランカでは国花となっており、またベトナムでは国花とは定められていないが、ベトナムを代表する花だとされている。
さて、福岡城跡を廻るお堀にも7月になるとたくさんのハスが花を咲かせる。今年もすでにハスの葉陰につぼみが見える。白い花弁の先をほのかにピンクに染めた大輪の花が咲き誇るのも近い。(IK)