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「鼓動」2010年8月6日

熱帯夜

 酷暑の東京。上京の折、オルセー美術館が所蔵する
『ポスト印象派』展を見物に、六本木の国立新美術館を訪れた。

 パリの中心部7区のセーヌ川沿いに位置するオルセー美術館は、20年以上も前に一度訪れたきりだ。そのとき何を見たのかさえ今ではよく覚えていない。
 そのオルセー美術館が大改修を行うということで、その期間を利用してモネ、ゴッホ、セザンヌ、ゴーギャンなど115点の作品群が日本にやってきた。

 一番印象に残ったのは、アンリ・ルソーだった。
 いわゆる「素朴派」に位置づけられる画家である。正規の美術教育は受けていないルソーが絵を描き始めたのも40歳頃からだ。
 彼は独学で描き続け、ちょうど100年前に亡くなっている。

 ルソー作『蛇使いの女』(1907年)は、熱帯のジャングルが迫る湖の水際で、蛇を首にした裸体の女が満月の光を背に受けて横笛を吹いている図だ。
 逆光の中で女の眼だけが、観るものを釘付けするように見据えている。
 幻想的で神秘的で官能的な光景を、空想力豊かに緻密なタッチで描いている。
 世紀を隔てても、ルソーのバーチャル・マジックは色あせていない。
 妖しさに満ちた熱帯の月夜のイメージは、鮮烈でいつまでも心に残った。

 蒸し暑かったその日。東京は熱帯夜となった。
 ホテルの16階のベランダに出ると、遠い雷鳴とともに、夜空を切り裂く雷光が縦横に走るのが見えた。それはあたかも閃光を放つ神経細胞のようだった。
 天変の生々しい有様をしばらく眺めながら、少し異界へと踏み込んだ気分がしないでもなかった。そして、昼間観たルソーのその絵がしきりに思い出された。(IK)

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