「鼓動」2010年8月31日
象の眼

句は動物園にて象を見たときの印象なのだろう。確かに象はこのような眼をしていて、瞑想する東洋の哲人風の眼だ。
オランウータンも同じく哲学者的ではあるが、象とはやや異なり、悲しげな大きな瞳には憂いを読み取ることができる。
そういえば、シッダルータ(釈尊)も象の眼をしていた。
シッダルータは、釈迦族の王シュッドーダ王の妃となったマーヤー夫人の長子として生まれるのだが、マーヤー夫人の受胎は、白象の夢によって知らされる。
ある夜、マーヤー夫人は王宮の神殿で眠りに入ると不思議な夢をみた。
天から白象が降りてきてマーヤー夫人の周りを三回右に廻ると右脇から胎内に入ったという夢であった。
翌日目覚めた王妃からその夢を聞かされたシュッドーダ王は、国中の賢者バラモンたちを呼び寄せ夢解きをさせると、バラモンたちは、「王妃は受胎されました。きっと男の子で王となられるでしょう」と占う。そして、彼が在家の生活を送るなら全世界の王の王たる転輪聖王(てんりんじょうおう)となり、もし出家するなら悟りをひらきブッダとなるであろう、と予言する。
伝説に言う「釈迦の霊夢托胎」である。
釈迦像の眼と象の眼。・・・やはりどこか似ている。(IK)