「鼓動」2010年11月26日
ピンチはチャンス

ところで、館内はというと、ところどころに空席が目立つ有様。その模様はTV放送を通じても伝わってくる。昨今の相撲界の不祥事や不景気を反映した結果とも取れるが、平日の日中に観覧するとなると、勉学や仕事を持つ若者に期待するのは難しく、必然と時間や財力にゆとりのある高齢者に頼らざるをえない。
そんな中、割安で観戦できる上段の椅子席は賑わい、ところどころに固唾を呑んで土俵に釘付けとなっている若者達の集団があった。アジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど、さまざまな地域の若者達だ。その数は決して少なくない。
相撲は、勝敗の行方のみならず、土俵上で繰り広げられる独特の間合い、呼び出し、懸賞幕など、外国人の好奇心をかきたてる魅力的なコンテンツである。
日本相撲協会によると公式ホームページには開設当初から英語版も用意され、月間1,000万アクセスのうち海外からのアクセスは15%を占めているそうだ。数にして150万、アクセスされる国・地域も世界中から150以上あるそうだ。
キーワード「SUMO KYUSHU BASHO」の検索ヒット件数(google.com)は、「相撲 九州場所」での同数値と比較して26%あまり、公式ホームページへの海外アクセス15%を上回っている。
もともと客が入りにくいと言われる九州場所。だからこそ、本当はおもいきった改革や仕掛けがおこないやすいのではなかろうか。Wi-Fiを使った外国語館内解説サービスや、外国人シートを設けるなど、他の場所とは違う『取組み』もできるはずだ。また、中心地から離れた会場への交通アクセスの案内や観戦アフターにも力を入れ、旅行社の観戦パックに頼らず、地元関係機関も街ぐるみで外国人観光客の誘致に積極的に関与すべきである。
大入袋をもらえたら、どれほど喜ぶことだろう。(K)