コミックふるさと、地方マンガに秘められた視線の向こうを解く。（2/2）

2012.06.09

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「コミックふるさと」に描かれた“視線の向こう”

「コミックふるさと北海道」を先に読まれたみなさんは、「コミックふるさと福岡」に描かれた福岡県民の暮らしぶりや歴史、風景、食べ物などから、どのような感想を抱かれるであろうか。まだの方も、どちらもまだの方も、読み比べてみてはいかがか。動物は出てこないものの、金印が登場したり、芸能人が登場したり、ときには外国も登場する福岡。ぜひ、マンガの中の人間模様を中心に読み楽しんでいただければ幸いである。

「コミックふるさと福岡」、「コミックふるさと北海道」の巻末では、それぞれ小川洋福岡県知事、高橋はるみ北海道知事もメッセージを寄せている。お二方の知事とも執筆いただいた郷土ゆかりの漫画家の愛情に感謝し、「明るく開放的で進取の気性に富む福岡の県民性が、外国の文化を受け入れて新しい文化を生み出してきました。」と語る小川洋福岡県知事、「観光パンフレットなどでは伝えることが難しい、北海道に暮らす人々の息遣いや自然の営みなどが伝わってきます。」と語る高橋はるみ北海道知事。まさに、２４名の漫画家の愛情によって描かれた「コミックふるさと」から発信されている福岡＆北海道である。

最後に、読み比べたことで気づかされ、地方マンガの印象的なシーンに秘められたとある姿が見えてきた。それは、“視線の向こう”である。

「コミックふるさと北海道」では、主人公は上空をしばしば見上げている姿が描かれている。
一方、「コミックふるさと福岡」の主人公は前を向き、ときには広がる地平線・水平線とともに空を望んでいる。

想像してみませんか？

“空の向こうにあるもの”、“前を向き地平線・水平線の向こうにあるもの”を、北海道と福岡で。

「コミックふるさと」に描かれた“視線の向こう”。

その先には、北海道と福岡の真骨頂が伝わってくる。

（asianbeat次長　川越信一郎）

コミックふるさと情報

「コミックふるさと福岡」

<収録作品>
山口かつみ「GO! WEST」
うえやまとち「とちくんの失恋日記1 柳川慕情」
内田かずひろ「博多っ子兄弟のゲナゲナ四齣典」
倉田真由美「イカを拾う」
国友やすゆき「最後の少年野球のこと」
わたせせいぞう「バラホテル（門司港）」
かたおかみさお「トウのキョウにてフクオカ想う」
山口譲司「There used to be…」
山田圭子「運河のほとりで弁当を」
宮崎かずしげ「宮ちゃんの戯夢人生福岡青雲編」
なかざき冬「GOLDEN STAMP」
松本零士「ゆめの火の国志のふるさと」

詳細情報リンク→マガジンハウス

「コミックふるさと北海道」

<収録作品>
安彦良和「箱馬橇」
唐沢なをき「流氷少年アシカ」
荒川弘「知床よいとこ」
モンキー・パンチ「北海道!! だから創作出来た『ルパン三世』」
大和和紀「大通公園で子どもしてた頃」
布浦翼「大雪山の勇者モコハル」
前川たけし「雪の音」
恵三朗「じゃがにまなびや」
青空大地「朝まで生き物会議」
いくえみ綾「思い出アレコレ」
篠有紀子「ワイルドファンタスティックライフ」
香山梨緒「ローソク出せと織姫さま」

詳細情報リンク→マガジンハウス