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FUKUOKA CREATORS / vol.019 吉田雄一(2/3)
かっこいいカルチャーを伝えたい。その表現方法の一つが洋服であり、イベントなんです。

――福岡のファッション業界をリードしてきたように思うのですが、Dice&Diceはどんなお店ですか?
吉田:コンセプトは今も昔も変わっていなくて、高いモノを売りたいわけでも、安いモノを売りたいわけでもないんです。その奥に見える人やカルチャーがあれば何でも良いんです。強いて言うなら、“人”ですかね。そのプロダクトを作っている人が魅力的であること。スピリットとしては、まさに「ダイス=サイコロ」です。モードに偏った時代もあるし、ストリートやアメカジだった時代もあるし、多店舗展開をしていた時代もある……。いろんなことがあっても、転がり続けてきました。Dice&Diceは、ローリング・ストーンズの“ダイスを転がせ”っていう曲名から来ているんです。いつでもサイコロを振り直すっていう意味で。誰にも媚びないし、去る者も追わない。変わることに対する恐怖なんて全く無いし、むしろ新しいことに飛び込むのは大好き、そんな会社だと思います。自分たちがかっこいいと思ったら、誰かに伝えたいと思うでしょ。ただ、それだけ。ここまでそれでなんとかギリギリ商売が成り立っています(笑)。
――Dice&Dice=吉田さんというイメージがありますが、バイイングや情報収集については、どのようにアンテナを張っているのですか?
吉田:僕は雑誌などはほとんど読まないです。自分が解らなくなっちゃうから。なので、僕の場合は人ですね。ほんと、人に助けられています。自分でも、人たらしだと思うくらい(笑)。よく「なんでそれをDice&Diceでやっているの?」って言われることよくありますが、ほんとに人の縁なのです。例えば去年だと、モンゴル800のキヨサクさんがお店でシークレットライブをやってくれました。キヨサクさんがお店のことを気に入ってくれて、全国で数店舗しか取り扱っていない彼のアロハシャツのブランドをうちで取り扱わせて頂いていて、それがご縁でライブを開催することになりました。

●Dice&Diceで行われたキヨサク氏のシークレットライブの様子。店内は身動きがとれないほどの人だかり。
――逆に、人以外の情報源って何ですか?
吉田:うーん……。僕が19歳の頃からDice&Diceで教えてもらったことが、体中に染み付いているから、言葉にするのって難しいんですよね。もちろん、インスタグラムとかもチェックしていますけど、結局は友達のページを見てるから、やっぱり人なんですよね(笑)。Dice&Diceでは、MAISON KITSUNEを扱っていますが、まだファッションブランドとして確立する前のKITSUNE時代の2人(ジルダ&マサヤ)が、DJとしてDice&Diceのイベントに来てくれたこともありました。今でこそ有名なブランドになりましたけど、当時はDJのイメージしか無かったと思います。でも、みんなそこからスタートしているんですよ。その過程を見るのって楽しいじゃないですか。流行っているから置いているわけではなくて、そこにはちゃんとした人と人による繋がりと、歴史があるんです。
――やっぱり、人なんですね(笑)。
吉田:ですね(笑)。そういえば、昔九州で初めてのピストバイクチームを作ってたんですよ。東京でバッグとかを仕入れていたこともあり、元メッセンジャーでアーティストのyoshi47がキューレーションのアート展をDice&Diceでやったんです。その時に、たくさんのアーティストが来福してくれましたが、その中の一人がCRANK(クランク)というメッセンジャーバッグを作っているhollyというこれまたおかしな人と出会って。その人の友達で、グラフィックデザイナーのNAOKIくんと出会って、その彼がSAYHELLOというブランドを始めたので、Dice&Diceにも置くことになって。そのNAOKIくんの兄貴分が、倉石一樹さんというデザイナーで、アディダス オリジナルスのクリエイティブディレクターなんですね。アディダスには、取扱がアジアで10店舗ほどしかないアディダスコンソーシアムというとてもレアでコンセプチュアルなスニーカーのラインがあるんですけど、その1店舗がDice&Diceだったりします。いろいろな方に支えられてDice&Diceは運営出来ていると感じるつながりなど思うんです。
――キヨサクさんのライブやアート展など、アパレルショップでイベントをやる意味って?
吉田:ただ洋服を売るんじゃなくて、文化を伝えたいんですよ。貢献したいって言うとおこがましいですけど、かっこいいカルチャーを伝えたいんですよ。あくまでも、その表現方法の一つが洋服であり、イベントなんです。なので、アパレルショップと言うより、ライフスタイルショップですね。
→吉田氏に訊く、福岡と海外の違いや、氏のライフスタイルのモットーについて。