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[アジアンビートオリジナル ポップカルチャーコラム vol.13] 

今年の音楽業界を占う

そういえば、前回のテーマ、『Greeeen 』がレコード大賞の最優秀アルバム賞ですね。100万枚売れましたか。凄いですね。そんな景気のいいお話をとんと聞けなくなった昨今、いかがお過ごしですか。2010年はどんと行きたいもんですね。
さて、そんな訳で前回、聞くメディアが様変わりして、音楽制作現場にも影響が出ているなどというお話をしましたが、その辺りから入りましょうか。

実際、今の世の中、防音の利いたオーディオルームで、高級オーディオセットの前にデンと革の1人掛けソファにふんぞりかえって、ゆったりと大音量でロックやヒップホップを聞くというような人は滅多にいないでしょう。そんなヒマとお金があれば他に使いますよ、自分なら。
むしろ、携帯やパソコンでダウンロードして、MP3で聞いたりするのが最もポピュラーなんじゃないでしょうか。まぁ、細部に至るまで気を遣って音を作っても、再生出来ない環境で聞き流される訳ですから、制作者側としては哀しいものが有りますね。

でも、それが現実です。音楽ビジネスは芸術活動でもありますが、一方で経済活動でもありますから、必然的に不況である昨今、無駄だと思われる経費が省かれて行きます。
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芸術活動という側面からは無駄でなくても、経済活動から見れば無駄なものがいろいろ有る訳です。

繊細な再現環境にないのであれば、細かい音は要らないでしょう。アナログな楽器やアコースティックな楽器は音の扱いも難しいから、サンプルデータを使ったらよろしい。

スタジオ代も節約出来ます。スタジオミュージシャンも、もちろん熟練エンジニアの腕も必要なし。編曲、つまりアレンジャーも音楽理論に基づいて、バイオリンだのなんだの入れられると予算が大変な事になるので、トラックメイキングは過去の名盤から切った貼ったすれば、これまた予算削減。
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歌だってディレクターや歌う本人が納得のいくまでレコーディングしてたら、スタジオ代が膨大なことに。

頑張り過ぎてノドの調子を壊したりした日には、回復するのを待つために、すべてのスケジュールをずらして、キャンセル料をお支払いして…。

それなら、文明の利器、コンピューターさんにお願いして、オートチューンで音程のおかしいのやら、リズムが狂ったのをちょいちょいと直してしまえば、これまた経費削減。
こうして、一昔前の10分の1程度にまで制作予算を抑えるんですよ。なぜなら、CDなどの売上げが10分の1くらいにまで落ち込んでいるから。
だからGreeeenなんて特別です。まさにキセキです

しかし、だからと言ってこんなやり方で良いんでしょうかね。不景気になればなるほど、経済の顔色を伺いながら芸術活動をせねばならんのは、当然の成り行きでしょうが…。

そして結果、売れ筋のものが有ると、業界全体右へ倣えで一斉に寄せてゆく。
ミドルテンポのトラックにラップを絡め、「会いたくて、会えなくて」とか、「携帯が、メールが」とか、「そばにいるよ、そばにいてね」みたいな、メロディーも歌詞もこじんまりと不景気な世の中に寄り添ってしまう。

まさに、歌は世に連れ、世は歌に連れですよ。

まぁ、大田区の町工場あたりと同じ状況に悩まされているんですね、音楽業界も。
つい先日もお友達の某大作曲家から電話が有りまして、ずっとこんなお話ばかりですよ。どれだけ制作の現場の予算が抑えられて、どんなに劣悪な制作物が生み出されているか、こんこんと嘆いていらっしゃいました。
このまま社会経済の荒波に飲み込まれて文化は荒廃してゆくのか?

いやいや、そうでもないと思います。人の想像力は無限大です
既存の音楽ビジネスモデルが崩れ、新しいスタイルが生まれようとしているのですよ、きっと。現場にいるとそんなふうに感じます。
グリーンのような地方発信のアーティストがますます増えて来るでしょう。
更には、『マドンナ』のようにメジャーレコード会社との契約をやめ、コンサート制作会社などと契約を結んでのエンタテイメントビジネス展開を軸にしたアーティストも増えて来るでしょうね。
今年は『サカナクション』とか『TaNaBaTa』とかが評判良さそうです。




ということは、福岡で忘れちゃいけない、『男の浪漫』。これまでの音楽アーティストとは一線を画す彼らの個性豊かなステージは、一度見たら絶対に引き込まれると思います。




とにかく既存のエンタテイメントに飽き飽きしている皆さんを、どれだけ生々しく楽しませるかが勝負の鍵になって来ると思いますよ。

あ、ご挨拶が遅くなりました。今更ですが、明けましておめでとう。
2010年もよろしく。

黒須 チヒロ
作詞作曲家、音楽プロデューサー。
MISIAのリリックプロデューサーを始め、SMAP、V6、NEWS、深田恭子、他、様々なアーティストに楽曲提供を行いながらも、
福岡から日本、アジア、そして世界へ、を旗印に『VANZ Entertainment』という芸能スクール兼プロダクションを立ち上げる。

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