マタギキ volume 05 前澤 友作氏(3/12)
2. クワガタ採りの名人と音楽に夢中になった学生時代

僕の生まれて初めての商売は、小学校の時の「クワガタの販売」でした。クワガタ取りの名人で採ったものを同級生に、大きさによって値段を決めて量り売りをしていました。商売人の素質はこの時から開花したと思います(笑)。ちなみに父は普通のサラリーマンで、母は専業主婦。実家が商売をしていたわけではありません。
中学校の頃から音楽に夢中になり、2年生ぐらいからギターを始めました。BOØWY、X JAPAN、BON JOVI、Metallica・・・ハードコアパンクと、だんだん音が激しくなっていきました。中学校の時はヤンキーたちをまとめるリーダーで。自分は悪に手を染めずに悪いヤツを束ねる「フィクサー」的なポジションでした。みなさんお気付きだとおもいますが、「ズル賢い」中学生だったんです。
ちなみに会社名は大好きなアメリカのハードコアバンド「ゴリラビスケッツ」の「スタートトゥデイ」という曲から頂きました。この判断は即決でしたね。
高校は「早稲田実業」。一年生の時は普通に毎日学校に行きました。千葉の中学校では当時僕が聞いていた音楽はほんの一握りの人しか聞いていなかったんですが、都内では皆聞いていたし、共有できる友達がたくさん増えたので、バンドをやりながら2年生からだんだん学校に行かなくなりましたね。2年生は半分、3年生は1/3は学校に行きましたね(笑)。ここの生徒はほとんどがそのままエスカレーター式に大学に行くのですが、「大学行って本当に意味があるのかな」って途中から思っちゃって。そう考え始めたら早くて、あっという間に学校に行かなくなって。
そして土木作業員みたいな仕事を始めました。仕事が忙しくなり、更に学校には行かなくなると親がすごく心配したので「卒業だけはしよう」と思って当時の担任の先生に相談し、交渉して仕事に行く日は先生に連絡して出席したことにしてもらって(笑)。先生も昔学生運動に参加していた人で、反骨精神が高い方だったんです。僕も当時は、「大人の生き方や校則」が嫌で反抗していたので、ある意味共感してもらえたのかも。
仕事をしながらも音楽はやっていました。仕事をする理由も、スタジオ代や、機材を買うため。お金はほとんどバンド活動をするために使いました。このころから「音楽で飯が食えたらいいな」って思い始めました。
●前澤氏が会社名にするほど影響を受けたというGorilla Biscuitsの“START TODAY”。
08年来日時のライヴでは前澤氏自身のバンドSWITCH STYLEもこの日限りで復活した。