「鼓動」2010年7月16日
元祖ビジュアル系

奇抜なメークのKISSや日本の聖飢魔Ⅱなどが知られているが、更に遡る1970年代初期に「グラムロック」と呼ばれるムーブメントがあった。
マーク・ボラン&Tレックス、デヴィッド・ボウイ、ロキシー・ミュージックなど主にイギリスのミュージシャン達が、思い思いに派手な化粧にギンギラの衣装で身を固めステージに上がっていた。退廃的だがゴージャスな雰囲気、演劇的な要素も織り交ぜ、独自の世界観でメッセージを発し、音だけのレコードよりもコンサートで若者達を魅了していた。
この潮流は周辺ジャンルにも波及した。フレンチポップス界ではミッシェル・ポルナレフが金髪アフロに奇抜な衣装とサングラスで衝撃を与えた。また、最初期のクイーンは、王子様風のコスチュームで登場しロック界の貴公子と呼ばれ、ファンの心を掴み世界に先立ち日本でブレイクした。ちょっと流れは違うが、ボブ・ディランも一時は塗り物をしてライブをやっていた。
時は流れ、グラムロックは過去の色物文化として語られることが多い。ファッションが多様化しデジタル高画質の映像が普及している現代では、コスプレやビジュアル系に関わる人達はもっと純粋に綺麗さや美しさを追求しているのかも知れない。とはいえ、ルックスにこだわり、自分以外の何かを演じたり、普通では表現できないものを追求する…というマニアックな精神は共通している気がする。(F)