「鼓動」2010年11月24日
葱

ねぎがおいしくなった。
昔から、関東では、主に白い部分(葉鞘)を食べる根深ねぎが栽培され、関西では、緑の葉の先端部まで食べられる柔らかい葉ねぎが栽培されてたようだ。「関東は白、関西は緑」を食べるといった食文化。
が、近年は、人の移動や輸送方法の発達によって、料理にあわせて使い分けるようになって、かつてほど食文化がかけ離れているとは思えない。福岡の博多万能ねぎと言えば今や全国区の人気だ。空輸を利用したマーケティングで注目され空飛ぶ野菜として名をはせた。関東で葉ねぎを広めた貢献度は大きい。
冒頭の蕪村の句。句に描かれた葱は、おそらく九条ねぎだろう。蕪村は京に長く住んだので、葉ねぎだろうし、京都と言えば、葉ねぎの代表品種九条ねぎの発祥の地である。枯木の間を家路に急ぐ人。手に提げたねぎの青々とした色合いが、ひときわみずみずしく映る。
寒くなってきた。今夜あたり、ねぎのたっぷり入った「ちり鍋」なんてどうだろう。(HR)