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『放課後ミッドナイターズ』特別インタビュー(3/6)

監督 竹清仁 インタビュー

デジタルっていうことと、福岡でクリエイティブが育つっていうことはすごく関係があると思います。

ab:福岡県はコンテンツビジネスの振興に力を入れており、また、実際にそのような業界で活躍する人が多い県と聞きますが、その点に関してどう考えますか?

竹清:よく言われるんですよね、福岡はクリエイターが多いって。僕らは福岡でやっているからあんまり意識してないんですよね。東京に比べると圧倒的に予算が少ないんだけど、その分アイディアでカバーしてやるぜ! っていう勢いがあって、多分元気がいいんだと思います。特にCMや広告はそうですね。ただ、福岡がコンテンツビジネスに力を入れるっていうのは多分ここからじゃないでしょうか。

ab:土地柄は関係しているのでしょうか?

竹清:場所というより、人ですね。人が集まってこないとできない。福岡は人が集まりやすいし住みやすいんです。僕の知り合いのクリエイターでも東京から移住してきた人が何人かいます。ちょっとデリケートな話ですが震災後は特にそういう傾向があるかもしれません。クリエイターの間で、必ずしも東京じゃなくても良いっていう風潮がずっとあったという事も、福岡に人が集まってきている理由のひとつだと思います。東京は仕事をするには良いけれど、住むとなると最適な所ではないから、もし地方に仕事があるんだったら地方の方がいいという人は少なくないと思います。
ab:同業種の人が多く集まれるところという意味で、“仕事するなら東京”という印象があったのですが実際は?

竹清:基本そういうものなんですけど、僕らが15年前に前の会社を始めたころは、デジタルのインフラとコンピューターがあれば映像が作れるようになってきた頃だったんです。そうすると、一回会った人とは距離が離れてても、デジタルでデータのやり取りとかはできるんです。地方にいてもコミュニケーションはとれるから、地方でも全然できちゃうんですね。デジタルっていうことと、福岡でクリエイティブが育つっていうことはすごく関係があると思います。それが色々なチャンスを開いたんですよね。映画を作るにしても、今でも東京のほうが圧倒的に便利なんですけど、必ずしもそうでなくてもいいっていう選択肢ができるようになりました。でも、福岡が断然いいとか、札幌がいいとかそんな事ではないと思います。僕は根が田舎者なので(笑)、東京にいるとどうも落ち着かないというか、追い立てられるような感じがしていました。
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東京にいると情報が勝手に入ってくるんですよね。それで焦るんですよ、ぜんぜん追いついてないやって。でも福岡にいると、自分のペースで仕事をしつつ、欲しいと思った時に情報を取りに行けるんですよね。それが僕にとっては福岡で仕事をするメリットのひとつです。他の所からいい人が福岡に来てくれたり、福岡で育っていくといいなと思っています。ピクサーって都会のど真ん中ではなく郊外にあるんですよ。ほんと場所じゃない。う~ん、でも場所じゃないと言いつつも、仕事しながら暮らさないといけないからどうせなら暮らしやすいところがいいですよね。仕事と両立できるという意味でも福岡はすごくいいところです。住んでみると分かるんですが。でも、すごいクリエイティブがどんどん生まれていないと、わざわざ地方へ住んでみようっていう気にはならないですよね。
ab:こういう良いものができるなら、自分たちも住んでやってみたいと思われるかもしれませんね。

竹清:一時のシリコンバレーってそうだったと思うんですよね。あの何もないところに皆集まって、横のつながりもできて。そこで新しい関係が生まれて、またさらにそこから新しいものが生まれる可能性はありますよね。人が集まるとね。

ab:都市の魅力って人の繋がりの延長線上にありそうな感じがしますね。

竹清:日本だけでいうとそうですし、前から言われてますけど、福岡ってアジアに近いですよね。今台湾や韓国と仕事してたりするんですよ。一回会いに行って、一緒に飲んだらノリが分かるから、あとはスカイプ繋ぎっぱなしにしといて、「そっち昼飯?じゃあこっちもいくわ」みたいなのをやってたんですよね。そういうのは割りと気軽にやれることが分かりました。できれば政治のほうでちゃんと都市間での税制の優遇政策みたいなものがあると、どこかでぐっと効果があるかもしれないですね。例えばシンガポールやカナダでは今そうなっています。特区にしてくれているので世界中のプロダクションが集まってますからね。福岡にも同じようなポテンシャルはあると思いますが、そのような実質的に効果のある施策ができるかどうかで大きく結果が違ってくるでしょうね。

ab:人が一つの都市の中に集まっていくだけじゃなくて、違う都市間でも繋がって何かしらの効果が生まれると面白いですね。

竹清:そうですね。今回作った映画はアニメーションなんですけれど、アニメって今までは、主に日本のマーケットだけで成り立っていたんですよね。だけど少子化の影響なんかでDVDが売れなくなってきて、マーケットとして閉塞感があって。このままじゃ未来がないってみんな思ってるんですよね。だけど海外にどう出ていっていいか分からないっていうのが現状なんです。でも出ざるを得ないってことは分かってる。それで日本人だけではなく、アジアの人たちと一緒になってやると、海外の人にも面白いって思ってもらえるような作品をつくる糸口がつかみやすい。「そうか!この人たちこんなツボがあるんだ。」みたいな。日本と海外では面白いと思うものが違うので。共通点もありますけどね。その辺が底上げされると、日本のエンターテイメントにもさらに可能性があるんじゃないかなと思います。今は福岡に限らず、アジアと日本が一緒に開発するプロジェクトが増えてきていますし。
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ab:今回5か国・地域同時上映ということで、アジア各国での反応と日本との違いを感じる事があると思うのですが、その点に関してはいかがですか?

竹清:これからでしょうね。ドキドキしています。公開してどういう反応があるか。一応海外でも楽しんでもらえるようにと願って作りました。だから、例えば時事ネタなど、日本だけでしかウケないアイディアは、面白くてもカットしました。また、デザインも海外で通用するよう意識して作りました。半分ドキドキで、半分楽しみです。

ab:このサイトを見ているアジアの若者に何か一言お願いします。

竹清:ははは(笑)。この質問、よく聞かれるんですけど、メッセージは特にないんです(笑)。例えばゴーストバスターズなんて、まあくだらないと言えばそうですし、泣ける作品でもないんですけど、あれって世界中で愛されている映画の一本なんですよね。
不思議なんですけど、良く出来た映画と愛される映画って必ずしも一緒じゃないなあと最近思うんですよ。一致していることもあるんですけど。一度好きになってもらったら、むしろ隙があるほうがすごく好きっていってもらえる可能性があるような気がしていて。人もそうですけど、突っ込みどころというか、好きになったら欠点があるほうが愛おしいっていうのがあるじゃないですか。この映画が、そういうふうに愛される映画になってくれるととても嬉しいですね。

竹清仁監督プロフィール

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1967年生まれ。九州芸術工科大学(現:九州大学) を卒業。
東映、神戸芸術工科大学勤務、KOO-KI共同設立を経て、2012年に映像で世の中をエンターテインする会社「モンブラン・ピクチャーズ株式会社」を設立。アナログとデジタル、両方の技術を熟知した上で創り出されるスタイリッシュな映像は、国内はもちろん海外でも高い評価を得ており、ショートフィルム「BANANA」はMoMA(ニューヨーク近代美術館)にコレクションされている。

■モンブラン・ピクチャーズ株式会社
http://mtblanc.jp/

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