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監督 吉浦康裕インタビュー(3/4)

『サカサマのパテマ』について
サカサマのアイディアをちゃんと感情に結びつけるっていうところが、非常にこだわったところです
ab:天地がぐるぐる入れ替わる表現や、サカサマ人っていうアイディアがすごいなと思って観させてもらったんですけれど、制作のヒントはどういうところから得たのですか?
吉浦:僕は福岡育ちなんですけれど、生まれてから6歳くらいまでの幼少期は北海道で過ごしたんです。向こうって電線もないし車道も広くて空が比較的広いところが多いんですね。それでよく休日に近くの公園に連れて行ってもらっていたんですけれど、空がやたら青くて広くて。空を見上げていると、見上げていると言うよりも、高いところから雲海を見下ろしているような感覚に陥いることがよくあったんですよ。自分が空に落っこちちゃいそうな感じがして。理由は分からないんですけれど。
落ちてきそうな星空とか、落ちてきそうな空とか、そういう表現があるじゃないですか。あれって“自分が空に落っこちていきそうな空”っていう意味だとずっと勘違いしていたんですよ。自分がそういう感覚を持っているがゆえに。こういう感覚って、子供の頃みんな1回くらいは経験することだろうと思っていたんですけれど、聞いてみると意外とそうではなかった。なので、これは何か面白いアイディアに使えそうだなとずっと思っていたんですよね。
吉浦:僕は福岡育ちなんですけれど、生まれてから6歳くらいまでの幼少期は北海道で過ごしたんです。向こうって電線もないし車道も広くて空が比較的広いところが多いんですね。それでよく休日に近くの公園に連れて行ってもらっていたんですけれど、空がやたら青くて広くて。空を見上げていると、見上げていると言うよりも、高いところから雲海を見下ろしているような感覚に陥いることがよくあったんですよ。自分が空に落っこちちゃいそうな感じがして。理由は分からないんですけれど。
落ちてきそうな星空とか、落ちてきそうな空とか、そういう表現があるじゃないですか。あれって“自分が空に落っこちていきそうな空”っていう意味だとずっと勘違いしていたんですよ。自分がそういう感覚を持っているがゆえに。こういう感覚って、子供の頃みんな1回くらいは経験することだろうと思っていたんですけれど、聞いてみると意外とそうではなかった。なので、これは何か面白いアイディアに使えそうだなとずっと思っていたんですよね。

▲『サカサマのパテマ』より

ab:空に自分が落ちていくっていうイメージは初めて聞きました。
吉浦:なるほど。あと、自分はファミコン世代でゲームっ子だったからというのもあります。ゲームには、重力がぱっと変わるような仕掛けがよくあるんですよ。特に今回の作品に関してはそういう子供時代の原体験が元になっていますね。
ab:本作を制作するにあたって最もこだわった点というのはどういう点ですか?
吉浦:なるほど。あと、自分はファミコン世代でゲームっ子だったからというのもあります。ゲームには、重力がぱっと変わるような仕掛けがよくあるんですよ。特に今回の作品に関してはそういう子供時代の原体験が元になっていますね。
ab:本作を制作するにあたって最もこだわった点というのはどういう点ですか?
吉浦:やっぱり、サカサマっていうアイディアの見せ方ですよね。画面をぐるっとひっくり返すって、言うと簡単ですが、実際にはちゃんとコントロールして描かないと混乱すると思ったんですね。上下逆になるわけですから。そこは気をつけて描写しないとダメだなと思ったのと、サカサマっていうアイディアに溺れないというところです。ただのドッキリ面白映像になってしまってはもったいないと思ったんですね。ちゃんと、ヒロインだけサカサマであるっていうことが、何らかの感情に変換されて、ちゃんとそれを感動にもっていかないとダメだなって思ったんですね。サカサマであるがゆえに感動できるとか、グッとくるとか。

だから今回サカサマっていう描写を一種の恋愛関係に例えているんですよ。男の子と女の子が出てくるんですが、この2人が一種の男女関係のメタファーになっているというか。出会いがしらでは同じ場所にいるはずなんだけど、価値観とか見方が全然違う別人で、おまけに相手の気持ちもよく分からない、と。それでだんだん男の子は女の子の気持ちを分かってあげるようになってきて、次第に2人の仲が深まっていくっていう描き方をしているんです。だから一種の恋愛モノとも言えなくない物語となっています。サカサマのアイディアをちゃんと感情に結びつけるっていうところが、非常にこだわったところですね。
ワクワクしてくれることが、僕が一番望んでいることなんですよ
ab:なるほど!逆かと思っていました。つまり、立場が違うもの同志を描きたいがためのサカサマの表現なのかと思っていました。実は『イヴの時間』を観させてもらっていたんですけれども、ロボットと男の子が描いてあって。お互い立ち位置が違うもの同志のコミュニケーションという点では、『サカサマのパテマ』との共通点が見えたので。吉浦監督はそういうところを大切にされているのかなと、何となく思っていたのですが。
吉浦:確かに共通のテーマに見えるんですが、実は意識しているわけではないんですよね。そういうテーマにしようと思っているわけではなくて、自分の描きたいものばかりつくっているとやっぱ似ちゃうんですよ。違う設定でも結局言っていることが同じだったとか。他の小説家や映画監督を見ていて僕も思うんですけれども、ああいうのはきっと勝手ににじみ出てしまう作者の性みたいなものじゃないかなと思います。たぶん僕自身が他人とのコミュニケーションにすごく敏感というか、何か思うところがあるんでしょうね。
ab:意識はしていなくても、自分が抱えている問題意識が作品というかたちで出てきちゃうというか。
ab:意識はしていなくても、自分が抱えている問題意識が作品というかたちで出てきちゃうというか。

吉浦:そうですね。もっと言うと引っ込み思案の男の子が、元気な女の子に助けられるっていうのも一緒だなと。
ab:おお!そうなんですね。それも作ってみて自分の内面が出てきちゃってるなぁみたいな。
吉浦:はい。自分の内側さらけ出してるみたいで恥ずかしいです。
ab:そういう感じでさらけ出ちゃうんですね(笑)。本作を通して伝えたいメッセージがあれば教えてください。
吉浦:メッセージ…そうですね、本当にサカサマ人間って面白そうっていう動機で作っているので、実は、大層なメッセージとかテーマとか訴えたいことっていうのが特にあるわけではないんですよ。とにかく楽しんでもらいたいなっていうのがあって。強いて言うのであれば、例えば『サカサマのパテマ』のメインポスターは上下の文字を逆にしているところがあって、どちらが上かなって一瞬迷ってしまうような作りにしているんです。そういう作りにすることで、初めて見た人が、ワクワクしてくれないかなって思っているんですよ。どんな話なんだろう、この設定だとどういう物語になるんだろうってワクワクしてくれることが、僕が一番望んでいることなんですよ。だから僕のメッセージというと、そこが全てですね。
ab:おお!そうなんですね。それも作ってみて自分の内面が出てきちゃってるなぁみたいな。
吉浦:はい。自分の内側さらけ出してるみたいで恥ずかしいです。
ab:そういう感じでさらけ出ちゃうんですね(笑)。本作を通して伝えたいメッセージがあれば教えてください。
吉浦:メッセージ…そうですね、本当にサカサマ人間って面白そうっていう動機で作っているので、実は、大層なメッセージとかテーマとか訴えたいことっていうのが特にあるわけではないんですよ。とにかく楽しんでもらいたいなっていうのがあって。強いて言うのであれば、例えば『サカサマのパテマ』のメインポスターは上下の文字を逆にしているところがあって、どちらが上かなって一瞬迷ってしまうような作りにしているんです。そういう作りにすることで、初めて見た人が、ワクワクしてくれないかなって思っているんですよ。どんな話なんだろう、この設定だとどういう物語になるんだろうってワクワクしてくれることが、僕が一番望んでいることなんですよ。だから僕のメッセージというと、そこが全てですね。