まんがイベント「韓国まんが文化と交流」 ~「宮」(らぶきょん)のパク・ソヒ先生来福!開催レポート!!~ (3/8)

(司会)
それでは、これからの時間は、韓国からパク・ソヒ先生をお迎えして、トークショーをお楽しみ頂きます。パク・ソヒ先生は、公州文化大学漫画芸術科を卒業後、デビュー作「霊魂の結婚式」でソウル文化社新人漫画大賞受賞。大韓民国漫画大賞人気賞を2003年度から3年連続受賞。2002年よりソウル文化社出版の雑誌Winkに「宮」を連載。同作品は、ドラマ化され、人気を博しています。進行は、「宮」の日本語版『「らぶきょん」~LOVE in 景福宮』(新書館) において翻訳業務に携わっておられる福岡女学院大学現代文化学科准教授佐島顕子先生です。また、通訳は日本漫画学会九州まんが交流部会会員、九州大学大学院の金慈恵さんです。パク・ソヒ先生、佐島顕子先生、金慈恵さんどうぞ。
(佐島先生、以下S)
ただいまご紹介にあずかりました佐島と申します。今日は、どうぞ、よろしくお願いします。こちらがパク・ソヒ先生です。それから、漫画学会員にてまんがを研究していらっしゃる金慈恵さんです。ついにパク・ソヒ先生に福岡へ来ていただくことができました。パク・ソヒ先生は、以前、日本には、東京と川崎にお越しになったことがあります。東京の頃は、まだ、日本で「らぶきょん」が出ていない頃でして、ドラマも制作されていない頃でした。そのときは、韓国の女性漫画家の代表ということで、おいでになられました。そして、アジアの女性漫画家の先生たちと、シンポジウムをなされました。そのときに初めてお会いしました。その後、「らぶきょん」の翻訳をいたしました。「らぶきょん」は、韓国でも大人気で、そして、日本でも、ドラマが始まる前に新書館のほうから「らぶきょん」が出版され、あっ、こんなまんががあってドラマができたんだということで、今、たくさんの人がよろこんで、まんがもドラマも楽しんでいらっしゃいます。「らぶきょん」は、伝統衣装を着たお姫様が、携帯電話と熊のぬいぐるみ、テディベアを持っている、もしも韓国に王室が残っていたらという設定です。それでは、パク・ソヒ先生にご質問をしていきたいとおもいますが、先生は、「らぶきょん」を描いていて、好きなキャラクターでは、どの登場人物がお好きですか?
(パク・ソヒ先生、以下P)
「らぶきょん」は少女まんがということもあるのですけど、構想が私の女子高時代でして、そのときに浮かび上がったのが、チェギョンというキャラクターでした。なので、一番、自分のことを代表できるキャラクターということで、一番、愛情がわくキャラクターはチェギョンでした。もちろん、性格が私と同じというわけではないし、外見が同じというわけではないのですが、私が一番好きなもの、面白がっているものを一緒に共にできるのは、チェギョンです。個人的に自分と一番、自分と似ているとおもうのは、コン内侍だとおもいます。
(S)
ドラマではコン内官といって、とってもかっこいい、すごいのですけど、原作のコン内官はものすごくぶっとんだ(笑)、読者のかたはご存知、ですね。
(P)
顔が私と同じというわけではないのですが、じつは、私には、とても好きな祖母がいまして、祖母の姿、形の似たような部分をそこに入れたのではないかとおもいます。あと、しみとかを強調して描いているんですけど、それも身近な祖母とか、そういったものを見ていれました。
(S)
「らぶきょん」の前にお描きになった短編で、「井戸」という作品があります。これは、20歳位の女性が、亡くなった恋人の実家に遊びに行くのですが、そこに、おばあちゃんが一人暮らしをしている。おばあちゃんのところに行って、親孝行をするようなお話なのですけれど、しっとりしながらも、おばあちゃんのキャラクターがいいキャラクターで、コン内侍のようなキャラクターで、いつかその作品が、日本でも出ればとおもいます。「らぶきょん」を描かれるとき、登場人物のどこから描かれるか、気になるのですけれども、顔からなのか、髪からなのか、どうでしょう?
(P)
一番はじめに描くのは顔です。顔の輪郭なのですけど、顔の向きによって、こっちを向いていたら、こっちを描く、正面であったら、正面の輪郭を描きます。顔を描いた後に、その後に、何を見ているのか、目を描いて、目、鼻、口の順番に描いていきます。鼻と口の位置を決めるのも重要です。そのあと、髪の形とか、体を描いて、腕を描いて、体の全体を描いています。
(S)
描かれているところで、一番大事なところは?
(P)
自分が一番大切におもっているのは、瞳を描くときです。悲しさや楽しさとかを表情であらわすときに、眉毛が1ミリあがったとか、さがったとか、それによって、顔の表情が完全に変わってしまうので、もしかすると、一番難しい部分かもしれないですし、自分でも一番、力を入れるのは、瞳の部分です。
(S)
目がひとつひとつ違って、本当にちょっと違うだけで、いろんな表情があり、まんがの深さだなあとおもいます。外国には、オールカラーの漫画があって、オールカラーの漫画が楽しいのではないかといわれることがあるのですが、比べて、白黒だから、線のひとつひとつが生きて、感情が非常に伝わってくる、カラーだと、逆に色でごまかされてしまって、だいたいという感じで通り過ぎてしまう気がします。白黒のまんがを描いていくということは、大変、大きな仕事で、そして、また、受ける感動も大きいなあとおもいました。
(P)
たとえば、私がある絵を描いて、そこに水をたらしたりとかして、それが、台無しになったりすることがあります。そのとき、その絵がとても気にいっているので、同じ絵が描きたい、同じ絵を描きだそうとするのですけれど、自分がさっき感じたように同じ絵は描けないんですね。その少しの違いで、微妙な違いで、すべてが変わってしまうので、白黒で線を描くというのは、難しいことだとおもいます。
(S)
「らぶきょん」の場合は普通のまんがと違って、伝統衣装だとか、髪かざりだとか、非常に細かい装飾が描いてあったり、建物、景福宮が描かれてあったり、行ってみると、同じって感じで、私、よく行くと、「チェギョンごっこ」で写真を撮ってくるのですけれど、そういう王宮とか衣装とか、どうやって描かれるんですか?景福宮とか行かれるのですか?
(P)
私は昔から、韓国の伝統衣装、チマチョゴリに関心がありました。ずっと、その衣装に関心を持って、観察をしていますと、すべてにおいて、曲線で描かれているのが、分かるんですね。袖の部分やチマとよばれるスカートの部分など、曲線があるので、自分では、それを生かしたいとおもいながら描いています。伝統衣装ですが、韓国、日本、中国など、いろいろありますけど、東洋ということで、完全に同じというわけではないのですけれども、重なる部分は多いとおもいます。なので、伝統的なチマチョゴリというより、作品の中で、現代的なチマチョゴリ、伝統衣装を描いています。それで、描いているときに、描いている途中、あれっ、これ中国っぽいとか、日本っぽいとか、そんな形が出てきます。そこで、どのように韓国的なものを出すかというときに、先ほど言いました曲線だけでは、韓国っぽい、韓国らしさが出せないときがあります。そういったときは、民族的な雑誌とかを見ながら、その中にでてくる扇子など、扇子の中の花や蝶などを見て、それをチマチョゴリの中に入れることによって、韓国らしさを出したりしています。
(S)
今の現代的なチマチョゴリですが、まんがを見て驚いたのが、チェギョンが最初は伝統衣装を着ていたのが、すぐに、現代的な可愛いドレスを着ている、チマチョゴリ風なドレスをどんどんデザインして着られていることに驚いたのですが、それが、ドラマで使われて、やがて、韓国で大流行しまして、今、私が着ているのも現代的なチマチョゴリです。チェギョンに伝統衣装ではなくて、現代的なドレスのようなチマチョゴリを着せている、どうやって、そのアイデアが出たのでしょうか?
(P)
衣装を描くときに、参考資料としまして、ファッションショーを見たり、雑誌を見たりしているんですけど、そのときに、チマチョゴリに応用させるために、現代の服をいろいろ見ていました。現代の服を見ていたら、現代の服自体にもいろいろと気づき始めまして、作品の中でも応用しようとしていた現代の服が、魅力を感じて、登場するようになってきました。
(S)
伝統と現代がすごくうまく混じりあっていて、ストーリーも王室と現代、現代に、どうやって王室がいきているのかという、とても今的な関心をそそる作品で、だから面白いのかなあとおもいます。「らぶきょん」を描いていて、おもいでの残るシーンとか、作家として、このシーンは忘れられないとかいうシーンはいかがでしょうか?
(P)
描いていると、全てが心に残るとか、このシーン大好きとかというよりは、描いていて、しんどくて心に残る場面もあるんですけど、残っているのは、一番最初にシンとチェギョンがあまり仲がよくないというときに、ひとつの部屋に二人を入れて、出れなくして、二人が一番最初にキスをして、これから、この二人のラブストーリーが始まるのではないかと感じさせるシーンがありました。そのシーンが心に残っています。
(S)
8巻ですね。
(P)
あと2番目は、修学旅行の場面がありました。シンがチェギョンをうしろから抱きしめながら、「お前なしで生きていけるか」というセリフを言う場面があるんですけど、じつは、シンはワンマンで、強くひとりで生きていくキャラクターだったんですけど、そこで誰かに傾きながら、一緒でないと生きていけないと暗示させた部分で、心に残っています。
(S)
私も訳しながら、残っています。お前なしで俺はいきていけるだろうか。ページをめくると、多分、生きていけるな。(笑)お前なしに自分のこと生きてきたし。笑っちゃうのですが、本音だったのだろうなって。感じたシーンですね。
(P)
あと、最近なんですけど、チェギョンが離婚をして、景福宮の外に出ながら、いろんな扉をいっぱいくぐるのですが、その一つの扉をくぐるたびに、今までのおもいでがひとつ失くして、またもうひとつくぐるたびに、おもいでを失くさなければならない、という、その場面を描くときに、とても悲しくて、印象にすごく残っています。
(S)
悲しかったですね。多分、みなさん、泣かれたとおもいます。そこからどのように復活していくか、ものすごく期待しているのですけど、18巻の表紙を見ると、すごくうれしいんですけどね。そうやって、別れてしまった二人なのですが、お互いのことを信じて、一緒に結び合っていこう、かつては、政略結婚で結婚した二人なんですけど、今度こそ、お互いの気持ちで、結ばれていくんじゃないかなあとおもって、とても楽しみにしています。みなさんも楽しみにしていらっしゃるとおもいます、ですから、こうしていらっしゃってくれたのだとおもいます。それで、こんな風に、たくさんの方がいらっしゃって、日本で18巻まで、まんがが出ました。正直、外国の少女まんがが、日本で18巻まで、人気を継続して出たのというのは初めてです。日本で人気のある「らぶきょん」というのを実感されたこととか、日本の読者の方について、何か、ありますか?
(P)
Wink でも一度書いた話なんですけど、日本に一番最初に来たときに、とても緊張していまして、そのときは、日本で、私のまんがが出版されるとはおもっていなくて、アジアの女性漫画家のセミナーで、集まってきていたのですけど、そのときは、本当に、いろいろある少女まんがのひとつの作品として、自分の作品は、ポツンとあるだけでした。そのときに、ある女子高生っぽい少女が来て、話しかけてきたのが、このまんがを日本で出してくださいね、といわれて、感謝の気持ちとともに、本当に私のまんがが日本で出版されるのかなあという気持ちもありました。こういうふうに日本で出版されたのは、そういった方、私が感謝するそういった方が集まって、日本で出版できたとおもうので、私の作品を見てくださったみなさんもそうですし、ここに来ていただいた方にとても感謝しているので、私のまんが、そして韓国のまんがもみなさん関心持ってみていただけたら、とてもありがたいとおもいます。
(S)
ファンレターとか御覧になられたことはありますか?
(P)
今回もそうなんですけど、メールで、福岡に絶対来ますというメールをいただいたので、今、どこにいるかわからないんですけど、本当に感謝しております。出版社である新書館を通して、はがきやお手紙をいただいたりしていて、本当に一文字一文字丁寧に書いてくださったのを私が読んでいます。とてもありがたくおもっています。あと一つは、また新書館を通してなんですけど、私の誕生日のときに、誕生日のメッセージをいろいろ集めたものを見て、私の誕生日を日本の読者の方々が、こんなに祝ってくださるとは、本当におもっていなかったので、本当に感動しました。
それでは、これからの時間は、韓国からパク・ソヒ先生をお迎えして、トークショーをお楽しみ頂きます。パク・ソヒ先生は、公州文化大学漫画芸術科を卒業後、デビュー作「霊魂の結婚式」でソウル文化社新人漫画大賞受賞。大韓民国漫画大賞人気賞を2003年度から3年連続受賞。2002年よりソウル文化社出版の雑誌Winkに「宮」を連載。同作品は、ドラマ化され、人気を博しています。進行は、「宮」の日本語版『「らぶきょん」~LOVE in 景福宮』(新書館) において翻訳業務に携わっておられる福岡女学院大学現代文化学科准教授佐島顕子先生です。また、通訳は日本漫画学会九州まんが交流部会会員、九州大学大学院の金慈恵さんです。パク・ソヒ先生、佐島顕子先生、金慈恵さんどうぞ。
(佐島先生、以下S)
ただいまご紹介にあずかりました佐島と申します。今日は、どうぞ、よろしくお願いします。こちらがパク・ソヒ先生です。それから、漫画学会員にてまんがを研究していらっしゃる金慈恵さんです。ついにパク・ソヒ先生に福岡へ来ていただくことができました。パク・ソヒ先生は、以前、日本には、東京と川崎にお越しになったことがあります。東京の頃は、まだ、日本で「らぶきょん」が出ていない頃でして、ドラマも制作されていない頃でした。そのときは、韓国の女性漫画家の代表ということで、おいでになられました。そして、アジアの女性漫画家の先生たちと、シンポジウムをなされました。そのときに初めてお会いしました。その後、「らぶきょん」の翻訳をいたしました。「らぶきょん」は、韓国でも大人気で、そして、日本でも、ドラマが始まる前に新書館のほうから「らぶきょん」が出版され、あっ、こんなまんががあってドラマができたんだということで、今、たくさんの人がよろこんで、まんがもドラマも楽しんでいらっしゃいます。「らぶきょん」は、伝統衣装を着たお姫様が、携帯電話と熊のぬいぐるみ、テディベアを持っている、もしも韓国に王室が残っていたらという設定です。それでは、パク・ソヒ先生にご質問をしていきたいとおもいますが、先生は、「らぶきょん」を描いていて、好きなキャラクターでは、どの登場人物がお好きですか?
(パク・ソヒ先生、以下P)
「らぶきょん」は少女まんがということもあるのですけど、構想が私の女子高時代でして、そのときに浮かび上がったのが、チェギョンというキャラクターでした。なので、一番、自分のことを代表できるキャラクターということで、一番、愛情がわくキャラクターはチェギョンでした。もちろん、性格が私と同じというわけではないし、外見が同じというわけではないのですが、私が一番好きなもの、面白がっているものを一緒に共にできるのは、チェギョンです。個人的に自分と一番、自分と似ているとおもうのは、コン内侍だとおもいます。
(S)
ドラマではコン内官といって、とってもかっこいい、すごいのですけど、原作のコン内官はものすごくぶっとんだ(笑)、読者のかたはご存知、ですね。
(P)
顔が私と同じというわけではないのですが、じつは、私には、とても好きな祖母がいまして、祖母の姿、形の似たような部分をそこに入れたのではないかとおもいます。あと、しみとかを強調して描いているんですけど、それも身近な祖母とか、そういったものを見ていれました。
(S)
「らぶきょん」の前にお描きになった短編で、「井戸」という作品があります。これは、20歳位の女性が、亡くなった恋人の実家に遊びに行くのですが、そこに、おばあちゃんが一人暮らしをしている。おばあちゃんのところに行って、親孝行をするようなお話なのですけれど、しっとりしながらも、おばあちゃんのキャラクターがいいキャラクターで、コン内侍のようなキャラクターで、いつかその作品が、日本でも出ればとおもいます。「らぶきょん」を描かれるとき、登場人物のどこから描かれるか、気になるのですけれども、顔からなのか、髪からなのか、どうでしょう?
(P)
一番はじめに描くのは顔です。顔の輪郭なのですけど、顔の向きによって、こっちを向いていたら、こっちを描く、正面であったら、正面の輪郭を描きます。顔を描いた後に、その後に、何を見ているのか、目を描いて、目、鼻、口の順番に描いていきます。鼻と口の位置を決めるのも重要です。そのあと、髪の形とか、体を描いて、腕を描いて、体の全体を描いています。
(S)
描かれているところで、一番大事なところは?
(P)
自分が一番大切におもっているのは、瞳を描くときです。悲しさや楽しさとかを表情であらわすときに、眉毛が1ミリあがったとか、さがったとか、それによって、顔の表情が完全に変わってしまうので、もしかすると、一番難しい部分かもしれないですし、自分でも一番、力を入れるのは、瞳の部分です。
(S)
目がひとつひとつ違って、本当にちょっと違うだけで、いろんな表情があり、まんがの深さだなあとおもいます。外国には、オールカラーの漫画があって、オールカラーの漫画が楽しいのではないかといわれることがあるのですが、比べて、白黒だから、線のひとつひとつが生きて、感情が非常に伝わってくる、カラーだと、逆に色でごまかされてしまって、だいたいという感じで通り過ぎてしまう気がします。白黒のまんがを描いていくということは、大変、大きな仕事で、そして、また、受ける感動も大きいなあとおもいました。
(P)
たとえば、私がある絵を描いて、そこに水をたらしたりとかして、それが、台無しになったりすることがあります。そのとき、その絵がとても気にいっているので、同じ絵が描きたい、同じ絵を描きだそうとするのですけれど、自分がさっき感じたように同じ絵は描けないんですね。その少しの違いで、微妙な違いで、すべてが変わってしまうので、白黒で線を描くというのは、難しいことだとおもいます。
(S)
「らぶきょん」の場合は普通のまんがと違って、伝統衣装だとか、髪かざりだとか、非常に細かい装飾が描いてあったり、建物、景福宮が描かれてあったり、行ってみると、同じって感じで、私、よく行くと、「チェギョンごっこ」で写真を撮ってくるのですけれど、そういう王宮とか衣装とか、どうやって描かれるんですか?景福宮とか行かれるのですか?
(P)
私は昔から、韓国の伝統衣装、チマチョゴリに関心がありました。ずっと、その衣装に関心を持って、観察をしていますと、すべてにおいて、曲線で描かれているのが、分かるんですね。袖の部分やチマとよばれるスカートの部分など、曲線があるので、自分では、それを生かしたいとおもいながら描いています。伝統衣装ですが、韓国、日本、中国など、いろいろありますけど、東洋ということで、完全に同じというわけではないのですけれども、重なる部分は多いとおもいます。なので、伝統的なチマチョゴリというより、作品の中で、現代的なチマチョゴリ、伝統衣装を描いています。それで、描いているときに、描いている途中、あれっ、これ中国っぽいとか、日本っぽいとか、そんな形が出てきます。そこで、どのように韓国的なものを出すかというときに、先ほど言いました曲線だけでは、韓国っぽい、韓国らしさが出せないときがあります。そういったときは、民族的な雑誌とかを見ながら、その中にでてくる扇子など、扇子の中の花や蝶などを見て、それをチマチョゴリの中に入れることによって、韓国らしさを出したりしています。
(S)
今の現代的なチマチョゴリですが、まんがを見て驚いたのが、チェギョンが最初は伝統衣装を着ていたのが、すぐに、現代的な可愛いドレスを着ている、チマチョゴリ風なドレスをどんどんデザインして着られていることに驚いたのですが、それが、ドラマで使われて、やがて、韓国で大流行しまして、今、私が着ているのも現代的なチマチョゴリです。チェギョンに伝統衣装ではなくて、現代的なドレスのようなチマチョゴリを着せている、どうやって、そのアイデアが出たのでしょうか?
(P)
衣装を描くときに、参考資料としまして、ファッションショーを見たり、雑誌を見たりしているんですけど、そのときに、チマチョゴリに応用させるために、現代の服をいろいろ見ていました。現代の服を見ていたら、現代の服自体にもいろいろと気づき始めまして、作品の中でも応用しようとしていた現代の服が、魅力を感じて、登場するようになってきました。
(S)
伝統と現代がすごくうまく混じりあっていて、ストーリーも王室と現代、現代に、どうやって王室がいきているのかという、とても今的な関心をそそる作品で、だから面白いのかなあとおもいます。「らぶきょん」を描いていて、おもいでの残るシーンとか、作家として、このシーンは忘れられないとかいうシーンはいかがでしょうか?
(P)
描いていると、全てが心に残るとか、このシーン大好きとかというよりは、描いていて、しんどくて心に残る場面もあるんですけど、残っているのは、一番最初にシンとチェギョンがあまり仲がよくないというときに、ひとつの部屋に二人を入れて、出れなくして、二人が一番最初にキスをして、これから、この二人のラブストーリーが始まるのではないかと感じさせるシーンがありました。そのシーンが心に残っています。
(S)
8巻ですね。
(P)
あと2番目は、修学旅行の場面がありました。シンがチェギョンをうしろから抱きしめながら、「お前なしで生きていけるか」というセリフを言う場面があるんですけど、じつは、シンはワンマンで、強くひとりで生きていくキャラクターだったんですけど、そこで誰かに傾きながら、一緒でないと生きていけないと暗示させた部分で、心に残っています。
(S)
私も訳しながら、残っています。お前なしで俺はいきていけるだろうか。ページをめくると、多分、生きていけるな。(笑)お前なしに自分のこと生きてきたし。笑っちゃうのですが、本音だったのだろうなって。感じたシーンですね。
(P)
あと、最近なんですけど、チェギョンが離婚をして、景福宮の外に出ながら、いろんな扉をいっぱいくぐるのですが、その一つの扉をくぐるたびに、今までのおもいでがひとつ失くして、またもうひとつくぐるたびに、おもいでを失くさなければならない、という、その場面を描くときに、とても悲しくて、印象にすごく残っています。
(S)
悲しかったですね。多分、みなさん、泣かれたとおもいます。そこからどのように復活していくか、ものすごく期待しているのですけど、18巻の表紙を見ると、すごくうれしいんですけどね。そうやって、別れてしまった二人なのですが、お互いのことを信じて、一緒に結び合っていこう、かつては、政略結婚で結婚した二人なんですけど、今度こそ、お互いの気持ちで、結ばれていくんじゃないかなあとおもって、とても楽しみにしています。みなさんも楽しみにしていらっしゃるとおもいます、ですから、こうしていらっしゃってくれたのだとおもいます。それで、こんな風に、たくさんの方がいらっしゃって、日本で18巻まで、まんがが出ました。正直、外国の少女まんがが、日本で18巻まで、人気を継続して出たのというのは初めてです。日本で人気のある「らぶきょん」というのを実感されたこととか、日本の読者の方について、何か、ありますか?
(P)
Wink でも一度書いた話なんですけど、日本に一番最初に来たときに、とても緊張していまして、そのときは、日本で、私のまんがが出版されるとはおもっていなくて、アジアの女性漫画家のセミナーで、集まってきていたのですけど、そのときは、本当に、いろいろある少女まんがのひとつの作品として、自分の作品は、ポツンとあるだけでした。そのときに、ある女子高生っぽい少女が来て、話しかけてきたのが、このまんがを日本で出してくださいね、といわれて、感謝の気持ちとともに、本当に私のまんがが日本で出版されるのかなあという気持ちもありました。こういうふうに日本で出版されたのは、そういった方、私が感謝するそういった方が集まって、日本で出版できたとおもうので、私の作品を見てくださったみなさんもそうですし、ここに来ていただいた方にとても感謝しているので、私のまんが、そして韓国のまんがもみなさん関心持ってみていただけたら、とてもありがたいとおもいます。
(S)
ファンレターとか御覧になられたことはありますか?
(P)
今回もそうなんですけど、メールで、福岡に絶対来ますというメールをいただいたので、今、どこにいるかわからないんですけど、本当に感謝しております。出版社である新書館を通して、はがきやお手紙をいただいたりしていて、本当に一文字一文字丁寧に書いてくださったのを私が読んでいます。とてもありがたくおもっています。あと一つは、また新書館を通してなんですけど、私の誕生日のときに、誕生日のメッセージをいろいろ集めたものを見て、私の誕生日を日本の読者の方々が、こんなに祝ってくださるとは、本当におもっていなかったので、本当に感動しました。