僕が初めて友達になった日本人は、福岡の方でした。お互いにアニメやゲームが好きだったので、すぐに意気投合して色々な話をしたことを覚えています。福岡の名物が辛子明太子であることや、香港でもなじみ深い博多ラーメンの生まれた街であることも教えてもらいました。ちょうどこの頃は香港でも『日本』という全体から『地方』への注目が集まっていた頃でしたので、東京や大阪にすでに行ったことのある僕は、次の旅行先を福岡にしようと情報を集めていました。『アジアンビート』のサイトを見つけたのはその時です。

アニメやゲームの情報はもちろん、最先端の日本文化が発信されていて、時間を忘れて読みふけりました。特に『ロビンの香港レポート』では香港に関する記事が紹介されていて、こうして日本語のできる香港人が日本の方に向けて情報を発信することで、香港のことをもっと知ってもらえるだろうと感じました。

日本のみなさんもご存知の通り、香港では現在、大規模な民主化デモや抗議活動が行われています。デモ現場には、政治スローガンとともにアーティスティックなポスターが貼られているのですが、日本のアニメやコミックを参考としたパロディ作品が多く見られます。香港の若者は、日本のポップカルチャーを自分たちの中に取り込み、芸術・社会・文化面における表現の一手段として昇華しつつあるのです。日本のポップカルチャーはもはや『観る』、『聴く』、『参加する』というエンターテイメントに留まらず、世界中で共用できる『素材』となりつつあるのではないでしょうか。

またそれは『アジアンビート』のような、インターネットというグローバルなツールを利用した、ポップカルチャーの情報を常に発信し続けるサイトがあったからこそ実現した潮流だと思うのです。　『アジアンビート』には、これからも日本とアジアを繋ぐ新しい潮流を生み出す源として、活動を続けてもらえたら嬉しいです。