[愛魂 vol.14] 映画監督・俳優 ヤン・イクチュン~鮮烈すぎるデビュー作 “息もできない”の誕生秘話とは~(1/2)
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国際映画祭・映画賞で25以上もの賞に輝いた『息もできない』の製作・監督・脚本・編集・主演を務めたヤン・イクチュン氏。俳優として活躍してきた彼が、初めて自分の全てを吐き出すために作り上げた作品は、世界中の感動と涙を誘った。映画の評価を決定づけた、俳優の演技力こそ、ヤン監督が求めた全てだった。映画の中とは全く違う表情を持つ、ヤン監督に話を訊いた。
演技という言葉は嫌いです。大切なのは、感情をぶつけることなんです。
asianbeat(以下ab):東京フィルメックスをはじめ、世界中でたくさんの賞を受賞され、反響も大きいと思いますが、今の率直なお気持ちは?
ヤン・イクチュン(以下ヤン):世界の映画祭で受賞できて感謝しています。ただ、受賞したことについて、自分の中で特別な想いはありません。『息もできない』という映画のストーリーを作り上げたところで、全て吐き出してしまったと思っているので、今は『息もできない』という映画は忘れようと思っています。映画が公開された後に評価を受けるということは、もちろん、一つの現象だと思いますが、それについて自分がどう思うっていうことはなくて、むしろ公開されているところで、お客さんがどう思ってくれるかが重要だと思っています。よく皆さんから“映画を作ってくれてありがとうございます”という言葉を頂く事があるんですけど、自由な選択の中で皆さんがこの映画を選んでくれているわけなので、その言葉は映画を選択した自分自身にかけてほしいですね。そう意味では、自分自身もこの映画にありがとうという言葉をかけたい。
ヤン・イクチュン(以下ヤン):世界の映画祭で受賞できて感謝しています。ただ、受賞したことについて、自分の中で特別な想いはありません。『息もできない』という映画のストーリーを作り上げたところで、全て吐き出してしまったと思っているので、今は『息もできない』という映画は忘れようと思っています。映画が公開された後に評価を受けるということは、もちろん、一つの現象だと思いますが、それについて自分がどう思うっていうことはなくて、むしろ公開されているところで、お客さんがどう思ってくれるかが重要だと思っています。よく皆さんから“映画を作ってくれてありがとうございます”という言葉を頂く事があるんですけど、自由な選択の中で皆さんがこの映画を選んでくれているわけなので、その言葉は映画を選択した自分自身にかけてほしいですね。そう意味では、自分自身もこの映画にありがとうという言葉をかけたい。

ヤン:よかったです。ヨン様ほどはいかないですが、ヤン様になった気分でした(笑)
ab:演じる上で思ったこと、キム・コッピさんなど俳優さんに指導する上で考えたことは?
ヤン:表情っていうのは心で感じたものが自然に出てくるものだと思うんですね。自分は演技という単語は嫌いなんです。今回の俳優をキャスティングしたのは、演技が上手いからではなくて、彼らが表現することに優れ、表現することを恐れていないからなんです。もちろんシナリオを書く段階では、その上にキャラクターはあるんですが、実際に俳優が集まった時には、キャラクターというものは剥がれて落ちてしまっていると思うんですね。だから、敢えてキャラクターのために演技をするんではなくて、彼ら自身の想いを表現してくれる演出をしました。韓国では演技をするという言葉は真似をしている、嘘をついているという意味があるんですね。そういう表現が自分は嫌で、今回の映画でも演技ではなくて、表現することが大事だと思っていたんです。だから、俳優たちにも演技しろというものではなく、ワンテイク目で全て吐き出せという指示をしていました。
ab:ヨニが自分の置かれている状況を言わずに、二人が惹かれ合った理由ってなんですか?
ヤン:意図はしていなくて、シナリオを書いていたらそうなったんですよ。同じような質問を受けるんですが、自分自身も映画が完成して初めて気づくことで、作っているときには意図していなくて、シナリオ書いて、撮影して、編集しているまで、その辺の感情については分からなかったですね。例えば、二人の出会いについても、出会ったときに、金持なのか貧乏なのか、どんな家庭環境にあるのかわからなくても、目が合った瞬間に惹かれ合うものっていうのはあると思うし、それは映画の中だけではなくて、皆さんの生活の中でもあると思うんです。そういったシナリオの中での出来事ってほとんど意図はしていないんですけど、一つシナリオを描く上で考えていたのは、それぞれ別軸で進んでいくキャラクターの関係など、全てのからくりっていうものは、観客たちだけに分かってもらえればいいと思っていました。キャラクターたち自身はこれを知らずにいてほしいなと思いながら書きました。
ヤン:意図はしていなくて、シナリオを書いていたらそうなったんですよ。同じような質問を受けるんですが、自分自身も映画が完成して初めて気づくことで、作っているときには意図していなくて、シナリオ書いて、撮影して、編集しているまで、その辺の感情については分からなかったですね。例えば、二人の出会いについても、出会ったときに、金持なのか貧乏なのか、どんな家庭環境にあるのかわからなくても、目が合った瞬間に惹かれ合うものっていうのはあると思うし、それは映画の中だけではなくて、皆さんの生活の中でもあると思うんです。そういったシナリオの中での出来事ってほとんど意図はしていないんですけど、一つシナリオを描く上で考えていたのは、それぞれ別軸で進んでいくキャラクターの関係など、全てのからくりっていうものは、観客たちだけに分かってもらえればいいと思っていました。キャラクターたち自身はこれを知らずにいてほしいなと思いながら書きました。

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