そしてバトンは「九州ゴスペルフェスティバル」へ。おそらくこれも初めてだったに違いない、駅前で無料で角松敏生が観れる！というまさかの幕開けに、来年はさらに広がる可能性さえ予感させた。1,000名による生声の大合唱が博多駅前に響き渡る。通勤客も観光客も、暫し足を止め無心に聴き入っていた。

そして最終バトンは、「ミュージックシティ天神」へと渡る。今年は新しく水上公園が会場に加わり、天神から大名という縦軸が南北にも広がり、より面的な増殖展開。新しい才能に出くわすのもこのフェスの特徴である。今年は福岡からメジャー展開した最も新しいシンガーソングライター、藤原さくらが里帰り凱旋出演。ミュージシャンを輩出し続ける街の最先端を進む若き才能に、地元のファンからも惜しみない声援が送られた。

実は今回、各フェス会場をリレー募金箱が繋いだ。共通のチャリティリストバンドの販売も各会場で行われた。それも実は今回、福岡ミュージックマンス共同プロジェクトとして、熊本地震復興支援チャリティーイベント「ONE KYUSHU(九州は一つ)」が、旧大名小学校にて開催された。福岡から“音楽の力”で、熊本や大分の皆さんを応援しようと、そして来場者が楽しみながらその気持ちを寄付金に換えることが出来る様々なイベントが行われた。

福岡や熊本に所縁ある芸能人やミュージシャン、井上陽水、陣内孝則、八代亜紀、氷川きよし、カンニング竹山、川崎宗則、辻仁成、佐々木健介＆北斗晶夫妻、森口博子、辺見えみり、押切もえ、紗栄子（以上、敬称略）、などから届いた私物やレアグッズによるチャリティオークションを、MCとして協力参加の福岡出身のお笑い芸人、黒瀬純（パンクブーブー）とバッドボーイズが会場を盛り上げ、中には10万を超える落札に会場が騒然とする場面もあった。また熊本出身の行定勲監督が、熊本を舞台に熊本出身の俳優たちを集め震災直前に制作した「うつくしいひと」のチャリティ上映会と、行定監督によるトークショーも開催。

そして両日とも体育館では有料ライブを行った。チャリティライブに無報酬で賛同してくれたアーティストは、福岡出身の原田郁子（クラムボン）、山口洋（HEATWAVE）、猪野秀史+鈴木茂、浅井健一、ハナレグミ、藤井フミヤ、最後の締めに鮎川誠がソロで立ち、熊本や大分に届けようと集まったスペシャルな“一つ”のライブが歴史ある体育館にまた新たな歴史を刻んだ。



グラウンドでは、熊本や大分から産直の特産品や飲食も並び、食べたり買ったりして応援するお客さん達で賑わった。地震の際に、福岡市民が救援物資を持って集まったあの場所に、九州は一つという新たな想いを胸に、音楽都市・福岡らしいまた新しい取り組みが始まった。
今年の福岡ミュージックマンスは、チャリティイベント「ONE KYUSHU」の取り組みを含め、福岡エンターテインメントパワーの可能性を大いに感じた。次回こそは、そんな博多の芸能のルーツに迫る！