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特別インタビュー(2/5)

自分たちがやっていることが面白いということ。それがいいことだと思います。
asianbeat(以下ab):影響を受けた作品を教えて下さい。
大友克洋監督(以下、大友):たくさんあります。特に一つと言うのを選ぶのが難しいくらい、色々な人に影響を受けています。
ab:今作に限らず、作品をつくるときにいつも大切にしていることは何ですか?
大友:最初にそのストーリーをやろうと思ったときに、「面白い」と最初に考えたことを、ずっと最後まで持続させることです。
ab:火要鎮を制作するに至った経緯を教えて下さい。

大友:アヌシー国際アニメーション映画祭で短編アニメーションをいっぱい観て、自分たちも作ってみたいと思ったのが始まりです。以前に漫画で描いた「火之要鎮」は博打や刃傷沙汰などドロドロした長屋話で画になりにくいので、前半は絵巻物風の「静」の世界、後半は派手な火事とアクションの「動」をピークにもってきて、「江戸の火消しの話」をちゃんと描こうと思いました。
ab:『AKIRA』の舞台が“ネオ東京”であったり、今作『火要鎮』の舞台が江戸であったりと、日本を舞台にした作品をいくつも手掛けておられますが、日本を描くことへのこだわりなどありますか?
大友:特にこだわりはないのですが、自分が理解できるので、つくりやすいというところはあります。『スチームボーイ』ではロンドンを舞台にしているのですが、それよりもやりやすいですね(笑)
ab:今作をつくるにあたり、最もこだわったのは、どんなところですか?

大友:アニメーションで江戸をリアルに描くところに苦労しました。当時の資料を集めたり、江戸東京博物館に行ったりしましたが、調べれば調べるほど次々に出てくるわけです。江戸の髪型を研究されている方にも話をうかがいましたが、年代ごとに変わっているので「どの時代ですか?」なんて聞かれたりして。学者やドラマで時代考証をしているような専門家にはかなわないし、正確にしすぎると逆に不思議なものにも見えかねないので、リアリズムよりは昔の絵巻物の様式美っぽい感じを目標にしました。火事のスペクタクル表現については「伴大納言絵巻」の中に応天門の火災を描いたすごくうまい絵があって、その煙の表現の仕方や炎のフォルムをスタッフに見せて「これを動かそうよ」と提案しました。シナリオなしで絵コンテを描き始め、ほぼ全カットのレイアウトと背景原図を自分で担当して、ひたすら瓦を描いてましたね。

レイアウトはいつも自分で決めるようにしていますが、最初の江戸の街を描くのは大変でした。絵巻物風の一枚絵の中でカメラが寄ってズームする感じを出そうと、だんだん家を大きく描いていき、最後は大店(おおだな)の裏庭まで行く。ジワジワ寄るのを絵で描いたほうが不思議な感じがして面白いんじゃないかと。でもCGを使っている部分もあります。着物の柄と刺青は、筆で描いたテクスチャを手作業で1枚ずつ作画に貼りこんだものです。手間はかかりますが、構図も限られているので可能なレベルです。人物の一部も3DCGです。そして、日本髪も作画の上からカツラのようにCGをかぶせたものです。結局、江戸をアニメーションで描くのが大変なのは、ディテールが原因です。着物を作画するにもまずシルエットが難しく、帯の結び方から何から、なかなかうまく描けない。歩いたり座ったりする立ち居ふるまいも下手に描くと浴衣みたいに見えてしまうので、女性スタッフに晴れ着を着てもらい、みんなでビデオを撮ったり写生会みたいなこともしました。
ab:大友監督の作品は海外でも非常に高い評価を受けていますが、そのことについてどのように受け止めていますか?
大友:よく海外から評価が高いと言われますが、自分ではそこまで実感していません。でも多くの人に知っていただけているというのは、本当にありがたいですね。
ab:アニメや漫画など、日本のポップカルチャーは海を越えて楽しめるものとなっていますが、日本のポップカルチャーが海外で評価を受けていることをどう思いますか?
大友:いいことだと思います。日本のアニメや漫画が海外で見られ始めた頃には、世界の人たちは日本のアニメーションについてまだ知らなくて。我々の作品に触れ、こんなに面白い世界があるんだということに、びっくりしていましたね。よく言われるのですが、海外を意識して『AKIRA』を描いたり、アニメーションを作ったりしたわけではないので、その意味で当てようとして当てているわけではないんです。作っている自分たち自身が、これは面白いんじゃないかと思って作ったものでした。それが結果として海外で多くの人に観ていただいたり読んでいただいたりしたというのは、やりがいがありますね。
ab:国内外でこのサイトを見ている若者へメッセージをお願いします。
大友:私たちは、自分たちで面白いと思うものを自分たちで見つけて、それを自分たちでつくるというのが原点となっています。アジアの皆さんも、自分たちの国でそれを始めてみてほしいと思います。今後も実写、アニメーションなどいろいろな企画が動いていきますので、楽しみにしていて下さい。
大友克洋監督(以下、大友):たくさんあります。特に一つと言うのを選ぶのが難しいくらい、色々な人に影響を受けています。
ab:今作に限らず、作品をつくるときにいつも大切にしていることは何ですか?
大友:最初にそのストーリーをやろうと思ったときに、「面白い」と最初に考えたことを、ずっと最後まで持続させることです。
ab:火要鎮を制作するに至った経緯を教えて下さい。

大友:アヌシー国際アニメーション映画祭で短編アニメーションをいっぱい観て、自分たちも作ってみたいと思ったのが始まりです。以前に漫画で描いた「火之要鎮」は博打や刃傷沙汰などドロドロした長屋話で画になりにくいので、前半は絵巻物風の「静」の世界、後半は派手な火事とアクションの「動」をピークにもってきて、「江戸の火消しの話」をちゃんと描こうと思いました。
ab:『AKIRA』の舞台が“ネオ東京”であったり、今作『火要鎮』の舞台が江戸であったりと、日本を舞台にした作品をいくつも手掛けておられますが、日本を描くことへのこだわりなどありますか?
大友:特にこだわりはないのですが、自分が理解できるので、つくりやすいというところはあります。『スチームボーイ』ではロンドンを舞台にしているのですが、それよりもやりやすいですね(笑)
ab:今作をつくるにあたり、最もこだわったのは、どんなところですか?

大友:アニメーションで江戸をリアルに描くところに苦労しました。当時の資料を集めたり、江戸東京博物館に行ったりしましたが、調べれば調べるほど次々に出てくるわけです。江戸の髪型を研究されている方にも話をうかがいましたが、年代ごとに変わっているので「どの時代ですか?」なんて聞かれたりして。学者やドラマで時代考証をしているような専門家にはかなわないし、正確にしすぎると逆に不思議なものにも見えかねないので、リアリズムよりは昔の絵巻物の様式美っぽい感じを目標にしました。火事のスペクタクル表現については「伴大納言絵巻」の中に応天門の火災を描いたすごくうまい絵があって、その煙の表現の仕方や炎のフォルムをスタッフに見せて「これを動かそうよ」と提案しました。シナリオなしで絵コンテを描き始め、ほぼ全カットのレイアウトと背景原図を自分で担当して、ひたすら瓦を描いてましたね。

レイアウトはいつも自分で決めるようにしていますが、最初の江戸の街を描くのは大変でした。絵巻物風の一枚絵の中でカメラが寄ってズームする感じを出そうと、だんだん家を大きく描いていき、最後は大店(おおだな)の裏庭まで行く。ジワジワ寄るのを絵で描いたほうが不思議な感じがして面白いんじゃないかと。でもCGを使っている部分もあります。着物の柄と刺青は、筆で描いたテクスチャを手作業で1枚ずつ作画に貼りこんだものです。手間はかかりますが、構図も限られているので可能なレベルです。人物の一部も3DCGです。そして、日本髪も作画の上からカツラのようにCGをかぶせたものです。結局、江戸をアニメーションで描くのが大変なのは、ディテールが原因です。着物を作画するにもまずシルエットが難しく、帯の結び方から何から、なかなかうまく描けない。歩いたり座ったりする立ち居ふるまいも下手に描くと浴衣みたいに見えてしまうので、女性スタッフに晴れ着を着てもらい、みんなでビデオを撮ったり写生会みたいなこともしました。
ab:大友監督の作品は海外でも非常に高い評価を受けていますが、そのことについてどのように受け止めていますか?
大友:よく海外から評価が高いと言われますが、自分ではそこまで実感していません。でも多くの人に知っていただけているというのは、本当にありがたいですね。
ab:アニメや漫画など、日本のポップカルチャーは海を越えて楽しめるものとなっていますが、日本のポップカルチャーが海外で評価を受けていることをどう思いますか?
大友:いいことだと思います。日本のアニメや漫画が海外で見られ始めた頃には、世界の人たちは日本のアニメーションについてまだ知らなくて。我々の作品に触れ、こんなに面白い世界があるんだということに、びっくりしていましたね。よく言われるのですが、海外を意識して『AKIRA』を描いたり、アニメーションを作ったりしたわけではないので、その意味で当てようとして当てているわけではないんです。作っている自分たち自身が、これは面白いんじゃないかと思って作ったものでした。それが結果として海外で多くの人に観ていただいたり読んでいただいたりしたというのは、やりがいがありますね。
ab:国内外でこのサイトを見ている若者へメッセージをお願いします。
大友:私たちは、自分たちで面白いと思うものを自分たちで見つけて、それを自分たちでつくるというのが原点となっています。アジアの皆さんも、自分たちの国でそれを始めてみてほしいと思います。今後も実写、アニメーションなどいろいろな企画が動いていきますので、楽しみにしていて下さい。
大友克洋プロフィール
1973年漫画家デビュー。その後「童夢」「AKIRA」などを発表。「AKIRA」のアニメーション監督を自ら務め、「MEMORIES」「STEAMBOY」等も手がける。2005年フランス政府から芸術文化勲章シュバリエを授与されている。